第4話 恋バナに夢中の友だちの幼さがおかしい

 修学旅行の夜、同じ班の二宮夏奈と平塚亜季が恋愛について話していた。というよりも、亜季が夏奈に男女交際のABCを教えていた。亜季がどこまで経験あるかは知らないが、知った顔をして話していた。一方の夏奈は真剣で、性に目覚めたばかりと言わんばかりの好奇心を示していた。あたしは時々相槌あいづちを打ちながら、梅田さんとの事を思い出していた。あれ以来、梅田さんと会う事もなくなり、物足りない毎日を送っていた。その事を二人に話そうかと迷ったが、誰にも話してはいけない事だと心に止めた。


 聖ヶ丘中学の京都・奈良修学旅行の二日目、千晴と亜季、夏奈の班は保津川下りを計画し、上流の乗り場までトロッコ電車に乗って移動していた。同じ班で行動している男子は、千晴たちとは特に仲が良い訳でもない、他からあぶれた三人だった。その中で、椎名しいな敏矢としやがリーダー格で、女子に対する関心が極めて強くてませた男子だった。


 同じ班になった三人の中で、大森千晴は幼過ぎるし、平塚亜季は頭が良過ぎるし、二宮夏奈が俺の好みに一番合っていると思った。教室で話し掛けても、俺には興味も感心もないという素振りが気になっていた。

「なあ、二宮ってさ、隣のクラスの桜庭と付き合ってるのか?よく一緒に帰る所を見るんだけど」と一緒の班の男子に話し掛けると、「知らねえ」と二人は素っ気なかった。

「じゃあさ、あの三人の中で、誰が一番いい?三人とも処女かな?」と仕向けると、二人は乗ってきた。

「平塚は意外と進んでるかもな。頭が良いから、何でも良く知ってるとか」と一人が言うと、

「大森のおっぱいは、男にいじられてる感じ!何せ、おっぱい星人だからな」と会話が弾んだ。

「二宮はどうなんだよ。あいつこそ、処女じゃないぜ」と俺は根拠もない事を言い触らしていた。話は盛り上がっていたが、俺は隙を見て二宮の隣に出掛けて行き、流れで「付き合って」と告白していた。


 昨夜も部屋に女子を誘い込んだのは椎名で、布団の中でキスをしたと自慢していた。多くの女子にちょっかいを出す椎名は、同じクラスの女子にはうとまれていたが、サッカー部のエースである彼は、他の学年には人気があった。


 二日目は班別研修で嵐山に行った。班の男子はサッカー部の椎名敏矢とその子分のような二人で、三人ともいけ好かない男子だった。トロッコ電車に乗っている時、三人であたしたち女子の品定めをしていた。幼稚な男子の会話にあきれながらも、聞き耳を立てていた。話の中で、あたしはどうやらおっぱい星人と呼ばれているらしく、処女に決まっているという評価だった。


 第一部はこれにて投了。第二部は、17歳思春期の彼女たちの姿を鋭意執筆中。

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『思春期15歳』《第一部》 秋夕紀 @Axas-0077

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