第6話

 イリーもミミズに組み付こうとしたが、振り落とされた。そもそも関節技が得意な彼女にとって、一番厄介な形態の敵だろう。

「オイラがやってやるよ」

 スターが外皮をひらひらとさせながら舞った。指先から白い光の筋が生まれ、ミミズに向かって放たれる。

 それを見たミミズが、首を回した。ミミズの口から黒い霧が吐き出される。

「あっちも!」

「えーっ」

 スターが頭を抱えた。なんと、ミミズが防御魔法を使ってきたのだ。

「向こうの魔法使いは強力だ……」

「おいらは自信喪失だよ!」

 ツチグリのスターは土に埋まっていじけ始めた。

「私たちで何とかしなければなりませんね」

「おう! で、どうするんだ」

 イリーとサンダーが何やら相談している。そして二人は、近くの木に登り始めた。

「なるほど。僕らも何とかしないとね。スター、協力してくれ」

「あ、ああ」

 こちらの二人も何やら作戦を練り始めた。

 そして、木の上の二人の方を見ると、サンダーがさかさまになってイリーに抱えられていた。

「準備いいですか!?」

「え、思った以上に怖え!」

「いいですね」

 サンダーを抱えたまま、イリーは飛び出した。そして、空中でサンダーの脇に自らの膝を差し込む。

「今だ」

 そして、スターは魔法を発動させた。ミミズの目がぎょろりと動いたが、光の線は別の方向へと伸びた。その先にはウズラがいた。

「これを、こうだ」

 ウズラが盾を構えると、光は反射されてミミズの方へと進路を変えた。思わぬ攻撃にミミズは反応できなかった。わき腹をえぐられ、悶絶する。

「目標が定まりませんが……当てるしかないですね!」

「こええよおおお」

「マッシュ・アロー・ドライバー!」

 必殺技は叫ぶと効果が増すらしい。

 サンダーのトゲトゲの頭が、ミミズの負傷したわき腹に突き刺さった。そして、突き抜けた。

「やりましたね」

「なんか気持ちわりぃ」

 ミミズは動きを止めた。やっつけたようだ。

「……おいら、悪い予感がする」

 スターが、神妙な顔つきをしている。

「何か気になる?」

「ミミズは……餌なのかも」

 その時、爆発音がとどろいた。


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