Root 08 一通りではなく。


 ――発覚するルート。一つの疑問が解消される瞬間だった。



 三階の大広間にある壁の向こう側。そして二階のアトリエの真上にあるこの場所。仮に『からくりルーム』と名付けるなら、リュウ明峰メイホウは、いつからこの場所にいたのだろう?


 見た目は、僕らと同い年か年下に思えたのだけど……


 年上だったの。僕と同じ姓を持つ、とある双子の先輩たちと同い年。その特徴をお話したら、お知り合いということで安心感を増した。怜央れお君も僕と阿吽の呼吸で同意同感。


 その瞬間から「明峰さん」と呼ぶことにした。



 この場所の導線がアトリエなら、少なからず僕の目の前を横切ることになる。この芸術棟の鍵を開けたのは僕。そして朝から僕はアトリエに滞在……なのに、明峰さんと顔を合わせたのは、ほんの先程。しかも初対面。バイオリンの音色は、怜央君が来た後。ということだから、少なからず、僕がアトリエにいる間ということになる……? もしもお泊りしていたとかだったら話は変わるけど、その痕跡は……


「ナイヨ。タネアカシダネ、ハヅキ。ツイテキテゴラン」と明峰さんは立ち上がり、歩いて行った。何処までも白いお部屋……大きな窓から注ぐ光のコントラストで成り立っている明暗。それこそがこの部屋の色となる。見惚れていると、「葉月はづき、行くぞ」との怜央君の声にハッとなって後を追う。その怜央君の前を明峰さんが歩む。


 ミシッ……ミミシッ……と。


 軋む音は、怪談を兼ね備えた階段……螺旋を描くゴージャスな階段? 何処へ行くのとばかりに怜央君の手を握った。すると何ということでしょう? 広がる御池と色彩華やかなお花畑。向日葵が咲き誇っている。まるで御伽の国を連想するようなその様な感じ。


 回る回るメリーゴーランドのよう。


 吹く風も、ナチュラルな風。三人で満喫。地上にある大自然。ここに繋がっていた。


 七不思議の、ラスボス的な不思議。でも、お話はまだまだ続くの……



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