Root 07 からくりルーム。


 ――それは、この芸術棟そのもの。とある遊び場とも、その様な解釈が出来そうな程。



 二階の大広間にある、かつては開かずの扉となっていたアトリエへの入り口。


 そして、そこから広がる七不思議……


 トキメキにも似た、不思議への好奇心。幼き日に持っていた冒険する心を、あの懐かしき日に持っていた心、それらを開花させる程の魅力がここにはあった。僕が絵を描いているのは、この場所が好きだから。この場所と出会う前の僕も、また開かずの扉と同じように、思い出せない程に閉じ込めていたのかもしれない。アトリエという場所は、


 ――僕の引っ込み思案な壁を木端微塵にするほどに、大きな出会いだったの。


 そして今再びの好奇心に、僕は入室。頭部だけではなく、その身を躍らせた。アトリエから階段を上った、幻だったそのお部屋へ。お部屋といっても……


「わあ、広―い」と声にする程。


 その広さはアトリエよりも若干は狭いけど、目の当たりにするこの子が、一人でいるには、まるで雲の上のような印象。天使がお空で戯れる……そんな世界観だ。


 きっと一人よりも二人の方が、そして……


怜央れお君も上がっておいで」と、二人よりも三人の方が、ずっと楽しいと思う。


 もはや関係ないの。

 その相手が幽霊でも幽霊じゃなくても、もうお友達には違いないの……


「その曲、僕知ってる」


「スキナンダネ、コノキョクノアニメモ。マイシュウミテル」


 片言の日本語。見た目は僕らと同じ国のように見えるけど、異国の人……のようだ。言葉は通じる。同い年くらいかな? 僕と同じくらいの身長で、とにかく白いの。着ているワンピースも肌の色も、そして三階の大広間を連想させるような白と黒……


 エンジェルリングが輝く黒い長い髪。僕の髪も背中まで届いているけど、それ以上。そしてここから始まる展開。リュウ明峰メイホウと、僕らの前で堂々と彼女は名乗った……



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