8月12日
8月12日、僕は部活の休憩中にプールサイドで昨夜のオオバさんとの花火大会を思い出しながら幸福感に浸っていた。いつもの少し胸の辺りが緩い白い服ではない浴衣を着ていた事やいつもは下ろしている髪もアップヘアにしていた事、そしていつもの交わりも和室ではなく縁側でしていたという一日限りの特別感は想像していたよりも僕を魅了した。
いつも以上に魅力的に見えたオオバさんの姿は思い出しただけでも僕の体をカッと熱くさせ、ここにいないオオバさんを求めてあの廃墟へ行きたくなる程だった。
「はあ……オオバさん……」
これまでも黒い下着姿で縁側にいたり白のビキニ姿でビニールプールに入っていた事もあり、その時もいつもの白い服以上に魅力的に見えていたが、あの浴衣姿は流石に卑怯だと思う。
昨夜、通りすがりに色々な浴衣を着た人を見かけたが、そんな人達なんて比にならないくらいにあの浴衣姿のオオバさんは僕を魅了してやまず、その後に行った野外での交わりもスリルと解放感が僕を更に興奮させ、上で色鮮やかな花火が上がる中で、僕もオオバさんに対して白い花火を幾つも見せる事が出来ていた。
「……会いたい。会いたいよ、オオバさん……」
オオバさんに会いたくてたまらなくなり、思わず身悶えしていたその時だった。
「……夏野君」
「え……ああ、若宮さん」
背後に立っていた若宮さんを見ながら僕は冷めた態度を取る。部活動の休憩中だから、他の女子と同じで若宮さんはスクール水着姿であり、男子達はそんな若宮さんの姿にいつものように鼻の下を伸ばしたり少し興奮したようにじっと見つめたりしていたが、僕にとってはどうでもよく、オオバの事を考えていた時間を邪魔された事にイラッとしていた。
「僕に何か用事?」
「……うん。夏野君、昨日は予定があるからって花火大会に来なかったけど、その予定の相手がさっきから呟いてたオオバさん?」
「そうだけど……それがどうかした?」
「……ううん、それを確認したかっただけ。それじゃあ私は行くね」
「うん」
去っていく若宮さんの目はどこか寂しげで悲しそうに見えたが、それに興味を持っていたのはほんの一瞬で、僕はすぐに若宮さんの事を忘れてオオバさんの事を考え始めた。
「……あんな子供に興味はない。僕はオオバさんさえいれば他の女なんていらないんだ」
オオバさんへの愛を示すその言葉が口をついてでてきた後、僕はオオバさんと会った時にしたい事について考え始めた。
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