第6話 除霊ショップ〝回顧堂〟

 翌日  

如月条規は、朝5時には、既に起きていた。

朝、シャワーを浴びて朝食の支度をしていた。

昨日の夕方、買い出しに行き、干物や納豆などを買っておいた。

 夏見は、まだ寝ている。条規は起こすか迷ったが食事の支度が終わったので、起こす事にした。

2階に上がり、夏見が寝ている部屋をノックする。

ちょっと間があき、夏見が出て来た。

 「夏見ちゃん、朝ご飯食べな!」と条規が朝食に誘うと夏見は、「すみません‥叔父様‥私が支度しなければいけなかったのに」と言葉を発すると同時に、大あくびをした。

「なんか、こんなに深く眠れたの久しぶりです」

そう夏見は、続け、条規に促されリビングに降りた。

二人は、条規の用意した朝食、干物、納豆、味噌汁を食した。

食べ終わると夏見は、後片付けをすぐに始めた。

条規は、〝ブラックデビル〟を吸いながら新聞を読み始めた。

昨日、20日ぶりに、PCを立ち上げ、溜まっていた〝依頼〟に目を通して、返信の遅れた理由などをメールした。

夏見が、後片付けを終えて、条規のいるリビングにあらわれた。

条規は、瞬間デジャブを味わった、小夜が戻って来たように思えたのである。

容姿は違うが、背格好が同じだからである。

あの頃はこんな風景だったと、しんみりした。

「何時頃、出発されますか?」と夏見は聞いた。

条規は、「何時でも構わないが、大丈夫なら早くいきたい、8時には、店はあいているから」そう、急かした。

それを聞いた夏見は、軽い化粧を始めた。


 上野 アメ横

 上野に着いた、条規と夏見は、ガード下の店の通路を歩いていた。ぼちぼち9時になるところで、

空いてる店あるが、空室なのか、シャッターも目立つ。

夏見はミニクーパーのせいもあり、汗だくであった、持っていたハンカチなど役にたたないくらい。

 条規は、とあるシャッターの前で、キーホルダーを出した。

鍵を、開けシャッターを開けるとそこには、さらに

扉があり、上に〝回顧堂〟と看板があった。

中に条規と一緒に入ると二人が精一杯の三畳ほどの広さであった。同時に奥にいた太った老婆が話かける。

 「条規じゃないの!暫く見ないから黄泉よみいきになったかとおもったよ!婆さんに心配かけるんじゃないよ!」と怒った口調だが顔は満面の笑みであった。

「片足、突っ込んだよ〝黄泉〟に‥」と話、辺りを物色している。

店内には、蜘蛛やサソリが入った酒瓶や気味の悪い木製の人形などぶら下がっていた。

夏見はすっかり〝場〟に飲まれて萎縮していた。

条規は、店主の老婆と話している「ここら辺の〝お札〟と〝岩塩の特〟あと〝身代わり〟も2体、それと、〝雅〟を5本、〝小鉄〟も、2本」

小鉄とは、〝雅〟を2回り大きくした小刀の柄である。

老婆は、「そんなにかい?まさか、アンタ〝伊吹〟

までつかったんじゃないでしょうね?」

〝伊吹〟とは、妖魔刀の最高位で、大太刀である。

「さすがに、〝伊吹〟つかったら、引退だよ」

条規は、カバンから、現金の入った封筒をだす

老婆は「ええっと、〝預かり金〟が16万ほどあるから、今回は、72万ってとこだね」

条規は、「100万入ってる、残りは預かり金に回してくれ!」そう言って持ってきた鞄に、除霊用品をつめだした。

老婆は、「あんた!あの娘、まだ除霊終わってないだろ!」と心配そうに小声で話した。

条規は、「まあ、ちょっと〝ソイツ〟に用事があってね、じっくりやるよ」と流した。

「まあ、アンタがついてるなら、心配ないけど、

アンタ!思い出した!師匠が探してたよ!きたら連絡よこせって 随分心配してたよ」と老婆は伝えた。

「まずい、病院で携帯とりあげられてて、すっかり忘れてた!電話する」そう言って帰り支度をして

「また来るよ!」と言って店をでて、シャッターを閉めて、鍵をかけた。

夏見は「あのお店、いい匂いする‥」 

条規は夏見を上から見て、微笑んだが、

「師匠に電話だ!」とやけに焦る姿に変わった。

 

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