第36話 強襲

翌朝―――――――


急いでバイキングに向かったカナは、到着するなりミラの姿を探した。

いた!大丈夫だったんだよかった。カナに気付いたミラは少し悪い顔をして言った。

「あの後、夜の甲板でナイフの刺し合いさ」

ええっ!

「そそんな危ない事にっ大丈夫だったの?」

「この通り平気さ、剣術はしこたま教えこまれたんでね。でも敵が1人とは限らないからカナも注意してね」

「ふぁい!」

朝から物騒な事を教えられたカナは、食事もあまり喉を通らなかった。

次のチェックポイントは崖を昇るという意味不明な競技だった。崖の向こうに昼食が待っているという。崖は切り立っており、登りやすいと言えたが、危険とも言えた。

どうやって足を置こうか考えていると、

「ここがいいよ、次につながるから」

ミラ王子~~~~~!!!さすがのかっこよさである。私は顔から熱が出てるのも分からず、1歩目を踏み出した。


―――――――――


何とかミラの助言あり、登りきることができた。昼食が待っている。

見ると、シチューのようなものがあった。美味しそうだ。ミラは唸っている。

「ごめん……それは…食べられそうもない」

ヒツジの肉がはいっていたかな?まあ王子だし選り好みはするよね。

私はお腹が減り過ぎていたのでガシガシ食べた。

「帰りは崖を降りなくてもOKよ!ここの道をいけば船に辿り着くからね」

それはありがたい、

「よかったねミラ」

「…うん」

「どしたの?元気ないね」

「…すぎてる」

「え?」

「…お腹が空きすぎてる」

思わず笑ってしまった。

「もうすぐバイキングだからそれまで待ってて?ね?」

ミラは黙ってコクンと頷いた。まだまだ王子も食べ盛りだからね!

船に乗り込む途中、どこからかナイフが飛んできた!間違いなくミラの方へ向かっている。ミラは飛んできたナイフを白羽取りした!周囲から歓声がもれる。

「まだ…いるってことかよ」

ミラはこの時ばかりは怒りに震えていた。全くその通りだ。お腹も減ってる所へ…。

そのまま私とミラは船に乗り込んだ。その先には戦いが待っているというのに。

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