第37話 船内での戦い

ミラを狙う敵がまだ存在する――――――――

そう思うだけで通りすがる誰もが敵に見えて来た。ミラはキョロキョロしながら朝のバイキングへやってきた。

「やあカナ」

「お早うミラ」

黙って2人は好きな物を食べていた。私はもちろんコラーゲンたっぷりの豚肉だ。

と、ミラが私に耳打ちをしてきた。

「敵は今日襲ってくる予感がする。あくまで予感だけど」

「ええっ!対策は打ってあるの」

「うん…まぁね。カナは僕とくっ付いてる時が多いから、カナも気を付けて」

「はい!」

そういうとミラは皿を戻して、去って行った。王子様あり、それを狙う敵あり、まるで絵空事のように感じて、いまいちパッとしないでいたカナだったが、現実だと知って、注意することにした。

夜――――――

バイキングも終わった。次のチェックポイントはまた海水浴とのことだった。崖を昇るよりかはまだマシに思えた。私は自分の寝室に向かおうとしていた時の事だ。

「ガタンガタン!」という走り去る音が聞こえた。怖かったが後を付いてゆく。

しばらく走っていると、甲板に出た。甲板にはミラが立ち尽くしていて、上の方に敵が眺めるように見つめている。敵は持っていたナイフをミラに投げつけた。ミラは細い何かで弾いている。

「こざかしいっ!!」

敵はミラの元までおりてきてナイフで切り刻もうと必死だった。しかし近距離ならミラの思うつぼだった。レイピアを装備していたからである。ミラはこれでもかというくらい敵の急所を刺し、最後には海にドボンと落としてしまった。

「ミラ!」

「ミカ!」

「大丈夫、敵はもういない。これは予感だけどね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る