第35話 パラソルゲーム

次のチェックポイントはあこがれのドゥール・ビーチ、いわゆる砂浜だ。

少し水に沈んでみたが、満足して今はパラソルの影に隠れてフルーツジュースを飲んでいる。砂浜も水も申し分なく綺麗だ。眺めているだけでも価値がある。

と、そこへ王子様が何かを手に持ってやってきた。

「カナ!シェイクでもどう?」

ミラはこの行動に深い意味はないんだろう。素直に受け取って食べてみる。美味しい!

「ねぇカナ、カナは普通の職業じゃない気がするんだ。だから職業とか…色々教えて欲しいんだ」

何とも直球な質問に、大いに戸惑ったが、ミラは悪い人間ではないだろうと判断して、職業、カナマートを発明し店を広げていること、これからも店を世界に広げていく野望を余すところなくミラに告げたのだった。

ミラはしばらく震えていたが、ドン!と手を砂浜についた。

「素晴らしい事じゃないかカナ、そこまですごいとは思わなかったよ」

ちょっと引き気味のカナがいたが、素直に喜んでくれて嬉しかった。

「カナが言ってくれたからいうけどね、…実は僕は」

耳元で聴いたその言葉は到底信じられなかった。あのザクセンブルグ城の第一王子だというじゃーありませんか。とたんに頭の熱が増してきて、フルーツジュースが完全に溶けてしまった。王子っぽい青年は、本物の王子だった。

「だからお店の出店のお金だって出せるし、どこにでも配置できるんじゃないかな」

夢のような話である。でもミラが私の事を好きかどうかなんて全く分からない。そう思うとちょっと悲しくなるのであった。

「カナはどれくらい本気かな?」

イタズラっ子のようにミラはカナに問うてきた。

「私はいつでも本気よ!」

「OK!じゃあいくらでもお手伝いするよ」

急に周りが明るくなったような気分になった私は、もう一回波に乘り込んだ。


夜———————

いつものバイキングが開かれた頃、カナとミラは食べながら談笑していた。そこからそう遠くない場所から、ミラへナイフが飛んできた。隣の柱に当たったものの、避難命令が船員から告げられる。

「ミラ、どういうこと?」

「僕の追ってが乗り込んでいた!第一王子だから色々と、ね」

「カナは自分の部屋にいて。僕はもう少し様子を見る」

そう言ってミラはナイフを取り出した。

「平気なの?」

「なーにこんなの朝飯前さ、とにかくさよなら」

そう言って行ってしまった。心配しつつも眠気が勝ち、熟睡してしまった。

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