第25話 暇と掃除
相変わらずカナマートの店長カナは、店長室でおでんを食べながら雑誌を読んでいた。ねむくなってきた頃、何やら店内が騒がしい事に気付いたカナは、店内に移動してみた。すると色んな形をしたロボットが、店内に集結していた。
「…何?」
「店長おりますかね」
「私ですけど」
中年のおじさんが設計図を持ってやってきた。
「頼まれてきた掃除屋っす。ほうここがコンビニちゅうんね」」
「誰か呼んだ?」
皆がキョロキョロする中、一人ロボットが手を挙げた。
「トイレヲ、ミテイタダケレバ、ワカリマス…」
カナはトイレを見に行き、帰って来た。
「うん、掃除屋に頼みましょう。お願いします」
ロボットによる掃除が一斉に開始された。
「汚れてるのは仕方ないとして、何で注射器なんて落ちてるのよ…」
カナはブツブツ言いながら、コンビニのドアの前に清掃中の紙を貼った。
清掃ロボはトイレはもちろん、厨房や店長室までやってきた。
「店長室はいいから!」
と言うと、ロボットは出て行った。
「はあ…いきなり騒がしくなったわね…」
しかし掃除ロボットはあっさりとその業務を終え、
「1万金貨す」
お代を渡すと帰って行った。清掃中のビラを外す。
トイレを見に行くとピカピカだ。これは定期的に清掃しないといけないなと感じるカナであった。
再びヒマになったカナはまたせんべいを食べながら、雑誌を読み始めた。
「はあ…こんなんならまたダンジョンにでも行ってスカっとしたいわ」
愚痴を言ってみたりもした。しかし動かないと現状は変わらない。もどかしい思いをしながら店長室のロッカーを開けた。そこにはダンジョン用の装備が今でも残っている。
「相談してみるか!」
カナは後日、コーヒーミルクを買いに来た忍者ピピンに話しかけた。
「まだダンジョン、行ってる?」
「バリバリ現役すよ!もうレベル95すからね!」
カナはレベル75だ。ずいぶん差を付けられたな…。
「ねぇ今度ダンジョンにまた行きたいんだけど、パーティー入れてくれるかな?」
「お、復活っすか?いいすよ誰かを外して野良で行けば」
「じゃあ考えておいてね」
ダンジョンで死んだらコンビニの経営者がいなくなることだけが心配だったけど、それ以上にカナはダンジョンに行きたくて仕方がなかった。
そろそろ2号店の売り上げを取って来なくちゃいけない。カナは寒い中、コートを着て1号店を後にした。
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