第15話 何もない日

私が商品の納品チェックをしていると、やにやらいかつい顔の男とひょろ長い男の2人組が店に入ってきた。

「いらっしゃいませ~」

「おうおう」

「はい?」

「お前誰の許可をもらってここで商売してんだよ。みかじめ料よこせ」

「ちょっと待っててくださいね。」

私はバックヤードに入って行った。そして大きな杖を持ってきた。

呪文を唱えると、

「今時みかじめ料払うヤツがいるか~!」

と、ものすごい炎を浴びせると、とたんにすすと化してしまった。やせっぽちの方は逃げて行った。それ以来そこから来る者は2度といなかった。

「この杖重いなぁ…」

愚痴りながらまたバックヤードにもって行く。

「カナ君~ソフトクリームの売り上げどうなってる~?」

「あ、は~い」

表を出す。

「まだまだ売れてるね」

「ですね」

「これならまだまだ在庫を仕入れてもよさそうだね」

「逆に冷凍食品はあまり売れてないなあ。納品は慎重に」

「はい」

「そういえば今日焼肉大会するの知ってる?」

「えーっ!?知らなかったです。いつですか?」

「夜に店を閉めて焼肉屋に行くんだ」

熱い焼肉とビール!くぅ~!

「ぜったいいきます!」

今日はそんな大イベントが待ってたなんて!

機嫌よくルーティーンをこなしてゆく。

そして夕方。

「もういいだろ、店閉めていいぞ」

シャッターを閉める。


「乾杯ーーっ!!」

乾杯の合図である。とりあえずはカルビとロースだよね絶対。その前にビール!

くぅーうまい!思わぬサプライズである。

肉もやってくる。

縁もたけなわの頃、バイトAが私に喋りかけて来た。

「副店長は店長とデキてるって本当ですか~?」

「誰よそんなこといったの!そんなわけないでしょ!私は…」

どこで出会ったんだっけ?ま、いっか。今が幸せならそれで。

そんなわけで焼肉会は夜中まで続いた。

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