第14話 ダンジョンの日

今日は自宅にエルフから手紙がきていた。

「装備の下に服を着て来るように」

…ただでさえ猛暑なのに。あ、あでもダンジョン内はいくぶん涼しいからいいか。

そして約束の10時半、コンビニ前でみんなは落ち合った。

少し遅刻してきたピピンはコンビニに入ろうとしたところをエルフに抑えられた。

「コーヒー…ミルク…」

「遅刻だぞ」

「はあぁ…」

「さて、今日は5階で狩りをする」

「はい」

「…いやに素直だな」

「従います」

「5階の敵は弓矢1発では倒せないのでお前らの活躍にもかかっている。不測の事態にも備えなければいけない。弓矢がなくなったら一度コンビニに戻って矢を補充する。いいか」

「はい」

「…今日はいやに素直だな」

「従います」

「じゃあいくぞ」

そういって私達パーティーは5階へと向かった。ヒーラーレミリアがトーチを掲げる。茶色の壁が不気味さを増している。なかなか敵が来ない。

「気を抜くなよ」

私達はしばらくダンジョンを回っていると、ようやく敵らしきものが現れた!

「敵人数3!」

エルフが超速で弓矢をぶつけていく。しかし敵は固い。ピピンが麻痺の吹き矢で1匹の敵を足止めする。そこへ戦士エールが切り込む。私は炎で対抗する。エルフが速射を続ける事で3匹倒す事ができた。ピロンとレベルが上がる。

「スキルレベルはまだいじらないでよ」

エルフが叫ぶ。

「この宝箱に大金貨が入ってたっす!」

ピピンが大喜びで見せつけて来る。

そうこうしてる内に1時間は経っただろうか。

「弓矢がほとんどなくなってきたから、一端コンビニにもどるわよ」

パーティーはコンビニへと向かった。

そしてまたテレポする。と、横一線の通路に辿り着いた。レミリアがトーチを掲げると、両側から敵の気配がするではないか!これはまずい。

「前4後2!」

「後ろを何とか抑えるんだ!」

エルフは前に向かって弓矢を連射しつづけた。私は2匹に向かって炎をぶつける。戦士エールは敵に盾を思い切りぶつけた。しかし敵はびくともしない。のでそのまま斬りつける。ピピンはまた麻痺の吹き矢をかける。

前4が沈まない。エルフはフラッシュを使い目くらましをし、パーティーの弓矢をもらい撃ち続ける。前2が沈んだ頃、後ろ2が全滅したので全員で前2に集中する。エルフの速射で前2も沈んだ。ピロンとレベルが上がる。

「何と!弓矢がまた無くなってるではないか!」

いきなりの事なのでとにかく焦ってしまった。

「しかたない、これでお終いにしよう。帰るぞ」

私はテレポを出し皆を1階に移動させた。

私達はコンビニ前に戻って来た。

「今までの戦闘で、スキルレベルがかなりあがっただろう。だから今からそれを割り振って全員を2次職に転職する。まずエールからだ」

そういうとエルフは勝手にエールのスキルレベルをいじり始めた。しばらくすると一瞬の光とともにエールの装備が全て剥がれ落ちた。

「なっ…!」

エールが困惑していると、

「2次職になると1次職の装備は装備できないのでそのまま落ちる。ごみ箱にでも捨ててこの大金貨を持って闇市に行き、最強の装備を買うんだ。エール、今日からお前は侍だ。レミリアはビショップ、ピピンは忍者、カナはハイマスターだ。」

皆騒いでいると、エルフは大きな咳払いをひとつした。

「これで皆、充分強くなった。しかし油断は禁物、始めは3階くらいから始めるように。ということで私の任務は終わった。パーティーを抜ける事とする」

「えーまだエルフさんいないときついっすよー」

「甘えるな!己で考え強くなれ!では!」

そういうと煙を出して消えてしまった。

「任務ってことは、つまりそういう事だったのかな」

「というか、しばらくダンジョンはよくないか?もうこりごりだよ」

「そうね、私ももうちょっとコンビニのことしないとね」


各々言いたい事をいいながら、洋服姿のまま闇市に向かったのであった。




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