第12話 デート?
連日真夏日なのでアイスコーヒーサーバーがガンガン動いている。冷たい飲み物も売れている。トッドさんが泣きついて来た。
「カナちゃん~数字の計算が大変で大困りだよ~~」
「数字の事は事業主がやってください!」
と、ピピンがやってきてミルクコーヒーを買って来た。
今日は弓矢が納品されてないから、ダンジョンの日じゃあない。
「カナさん、ちょっと外いいすか?」
「?」
私たちは座れるベーカーリーショップに腰をおろした。ピピンは少しモジモジしている。どうしたのかなと思っていると、
「あの、こんど俺っちに新しい彼女ができたんす」
「まぁ!おめでとう、名前はなんて言うの?」
「ポポンっす」
「…ややこしい名前ね。それで、デートは済んだの?」彼女の写真を見ながら訪ねた。
「これがまだなんすよ。それでお願いします!」
「へ?」
「カナさんとデートのシミュレーションをさせて下さい!デートは明後日なんですよ!」
「へ?無理無理私なんて!まず身長差からしておかしいでしょ」
「関係ないっす!デートは明後日、だから明日しかないんす!おねがいします」
こまったなぁ。コンビニの仕事もあるし、なにがあるかわからないし…。
「じゃあ夕方からならいいわよ。それでよければ」
「夕方でもかまわないっす!おねがいします!」
そんなわけで明日はピピンと疑似デートをすることになった。どうなるやら。
またバイトの子のピンクのワンピースを借りて、ダンジョンで稼いだお金を持って夕方、例のベーカリー屋の前で待ち合わせた。
「やーやーどーも」
ピピンはリュックを持って待ち合わせ場所に現れた。
「その服は買ったの?」
ピピンは言ってきた。
「い、いやこの服は借りたのよ」
「じゃああとで服を買いにいこういか」
お、いいとこあるじゃん。とにかく服がなくて困っていたところだった。
「おいしいスパゲッティー屋さんがあるから、そこにいかない?」
「いいよ」
2人はスパゲッティー屋に到着した。ピピンは写真の束を乱暴にテーブルに置いた。
「これは?」
「俺っちが盗んできた物っす。人の飲み物、武器、防具、それと…」
「ちょっと待ってよ。これを彼女に見せてどうしようってのよ」
「俺っちは盗賊ですからね、盗賊自慢す」
「こんなので彼女が乗ってくるわけないでしょ!やめなさいこんなの。それより私なんかより彼女に服でも買ってあげて紳士なところを見せること!」
「ふむふむ」
「大体装備盗んでどうしてたの?」
「よろず屋に売ってたっす。これがいいお金になって…」
「そういうことも彼女に言っちゃだめだからね!」
そうして私は色々ピピンにアドバイスをした。ピピンは素直に従った。
すっかり夜になっていた。
「今日はどうもっした。これ」
ピピンはずっしりとお金を渡してきた。
「今日のバイト代す」
「ちょ、こんなにどういうつもりよ」
「ダンジョンで稼いでるので気にしないでくださいっす!今日はありがとうございました!」
そういって月夜に照らさせながら踵を返してピピンは帰って行った。
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