第5話 ギルド
私は徒歩で冒険者の集うギルドへと向かった。途中、通行人に場所を教えてもらいながら。今更ながらトッドさんにギルドの場所を聞いておけばよかったと後悔していた。
30分は経っただろうか。やっとギルドに辿り着いた私は恐る恐るドアを開けてみた。そこには色んな人種が入り混じり、ビールを飲んでいる者もいれば一生懸命人を集めている人もいた。そうか。ビールか。コンビニにも置こう。
しばらくキョロキョロしていたが、猛者が多めのような気がしたので、
「初心者パーティー募集してます!」
と思いっきり声を張り上げてみた。時間は大事なのである。
小さな子供みたいな子が近づいていた。
「あの…初心者なんですけどいれてくれませんか?盗賊のピピンといいます」
「いいですよどーぞどーぞ!」
エールを飲んでいた戦士らしき風貌の男が、声を聞いて近づいて来た。
「おう!俺はエールというもんだが初心者なんだ。いれてくれないか!まっさらなレベル1!」
集まってきた!やはり待っている人の方が多いんだな。
「あの…」
いきなり私の横にいた人物が呼びかけて来た。
「私も…初心者なんですが入れて頂けませんか?僧侶レベル1です。レミリアといいます。」
意外とレベル1が多いのが驚く。もちろん歓迎だ。スキルを振り直し最初から強いレベル1もいるが、気にはしないでおこう。
「1階を回るだけだけだから4人でいっか!私は魔術師のカナ。レベル1。みんな一度テーブルに座りましょう」
「さて集まったわけだけど、実は私今度オープンするダンジョン入り口のコンビニの準オーナーなんだ」
「知ってる!コンビニができるってハナシだよね」
「そう!だからダンジョンに入る前に、皆一度覗いてみてよね!」
「オッケー」
「じゃあ準備OKならダンジョンにいきましょう」
「装備は戦いながら揃えて行きましょう」
「ドキドキするなぁ」
4人はそのままダンジョンへ向かって行った。ダンジョンへの道は私が精通している。皆緊張しているようだった。
「ここよ」
ダンジョン前のコンビニに到着した。
「わあ、綺麗だなぁ」
ピピンは早速駆け足で入り口に入って行った。他も後に続く。戦士のエールだけは入り口前でみんなが来るのを待っていた。
「あれ?エール君はいかないの?」
「俺は金がねぇ。帰りなら飲み物でも買うかもな」
「そう…」
「ミルクコーヒー買ったよ!」
ピピンはパタパタとやってきた。
「私は栄養ブロック食品買いましたわ」
「みんなありがとー!」
素直に喜んだ私は、
「じゃあ早速ダンジョン入りましょうか!」
そう言って4人はダンジョン1階へ消えて行った。
「私がトーチを唱えて明るくします」
僧侶が呪文を唱え、周囲を明るくする。
「じゃあ歩きますね」
ゆっくりとあるいていく。と、すぐに敵影が現れた!
「キャー!」
とたんにおしくらまんじゅう状態になる。
「待て、焦るな!手を再び照らせ!」
エールは剣を抜いて冷静に言った。
よく見るとキノコが大きくなったような敵である。
「魔術師、ファイアを食らわせろ、盗賊はデバフの吹き矢を掛けろ!」
2人は言われる通りに火を吹かせた。とどめに剣士が真っすぐ剣を入刀したらあっさりと死んでしまった。通常LVとスキルLVが上がる。
「よし!」
スキルLVを上げていると、エールは倒した敵をぶつ切りにしてズダ袋に入れていた。
「何をしているの?」
「こいつは食うとうまいんだ。だから携帯するのさ」
「げーっ食べれるの?」
「けっこううまいんだぜ」
そうして4人はしばらく緑色をした壁を進み、キノコのお化けやスライムを倒していた。敵を倒すと大抵宝箱がでる。そうなると盗賊の出番だ。ピピンはカチャカチャと開錠する。
「毒針か…」
独り言を言いながらそのまま開錠を続ける。カチャッと宝箱を開くと、銅貨とともに装備がでてきた。僧侶のローブだった。
「よかったねレミリア」
「はい、ひとつ上のランクの装備です!」
「僧侶はやられやすいから、良かったな」
「さて」
「今日はそろそろ充分回ったし、ここら辺にしておきましょうか」
「そうですね」
1階の出口に向かって皆歩き出した。
ダンジョンから出てからまたコンビニに向かい、皆はまた飲み物を買ってくれていた。エールがコンビニから出てきて私に、
「炭酸水買ったぜ」
といってその場で飲みだした。なんだかすごく嬉しい気分になって、
「お買い上げありがとうございます!」
と礼をした。
「私はここが家みたいなものなのでここでお別れしますが、定期的にダンジョンに潜りましょう」
「了解」
そう言ってコンビニ前で解散となった。そこへトッドがやってきて、
「どうだったい?」
と聞かれたので、銅貨の入った袋を出して、
「こんなに成果あげましたよ」
と言ってやった。
「おー、なかなかやるね。その調子でダンジョンはまた潜ってくれよ。もちろんコンビニのこともね」
「はい!」
今日は充実した一日だった。気分よく着替えて私の部屋の床についたのだった。
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