第4話 またか!

携帯の画面をタップし、状況を確認する。

うむ、電波は届いてない。そりゃそうだ。

特に収穫はなさそうかと思ったが、パスワードを入力してよく見ると…いや、よく見なくてもわかる。

全然入れた記憶のないアプリが入っている。また、今まで入れていたアプリがなくなっている。

どういうことだ。これは俺の携帯じゃないのかもしれない。

いやしかし、パスワードは俺の携帯と同じだったし見た目も待ち受けも俺の携帯とほぼ瓜二つ。

ということは、こちらの世界に来た際にこちらの世界に対応した姿になったということなのか?

などと混乱しながらも5つほどあるアプリの1つ目をタップしてみた途端、携帯が目の前でカッと眩いほどの光を発した。


「うわっ!?」


思わず携帯を投げ捨て、子犬を包むように体を丸める。


この光は身に覚えがありすぎる!!記憶に新しすぎる!!!


ぎゅっと目を瞑り頭を下げているにも関わらず、光がそこにあることがわかる。また、どんどんと光が強くなっている気がする。

さてはこいつ、近づいてきてるのか…!?

そういえば投げ捨てたのに、携帯が落ちる音が聞こえなかった。普通は草の上に落ちたら、少しでも音を立てるはずだ。

しかしそれが聞こえなかったということは、こいつ、浮いてるのか!

そして俺に近づいてきてるのか!!


と、普通ではありえないようなことを考えつつ、しかしさほど外れてはいないであろう想像をする。

一拍おいて、頭のてっぺんに何か…ぬるりというか、グッというか…とにかく、感じたことのない感覚があった。

頭の中に、何かが入ってきているような感覚。気持ち悪いような、くすぐったいような…

それを感じたと同時に、光が収まる。思わず頭のてっぺんを触ってしまうが、特に変わったところはない。


「もう、わけがわからなすぎる…」


状況は分かるが、理解できないことが立て続けに起こりすぎて思考が停止しそうである。

今のも、状況的には携帯が俺の中に入ってきたのだろう。

客観的に見るとそうにしか思えない。しかしなんでそんなことになったのか、全く理解できない。

全て理解することを放棄してしまおうかと考えていた時、ふと頭に

『インストール完了』

という一文が浮かぶ。

なんだそれは。何がどうなってインストールが完了したんだ。

いや、何かをインストールしたんだな、そうだな。よしわかった。

遠い目をしつつ、状況を受け入れあきらめた時、目の前に四角のホログラムが浮かび上がってきた。


「おお…なんか出た。これ、もしかして携帯か?」


少し画面の大きさは変わっていはいるものの、ホログラムの見た目は先ほど投げ捨てた携帯と同じく5つのアプリのアイコンが横1列に並んでいる。


「物語とかではよくステータスとか言ってこういうホログラムを出していたが、実際に目にするとは思わなかったな。これは使い方は携帯と一緒でタップすればいいんだろうか。」


今度こそ、一番左にあるアプリをタップする。

するとパッと画面が変わり、ステータスと書かれた一覧が出てきた。


――――ステータス――――


【 名前 】マサヨシ・タチバナ

【 年齢 】29歳

【 Lv. 】1

【 HP 】5/5

【 MP 】3/12

【 能力 】鑑定☆ 空間ボックス☆ 気配遮断Lv.3

【 異能 】翻訳 ヘッドフォン アニマルヒール アニマルセラピー ???


―――――――――――――


ふむふむとステータスを読んでいると、MPの3という数字が4に上がる。

このHPとMPの左側の数字は、現状の俺の数値を表しているのか。なるほど。そして、今はMPが自動回復しているってことだな。自動回復はありがたい。

そしてこのステータスを見て、何点か気づいたことがあるのでまとめてみる。


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