第6話 レベルアップ



「頑張ってください坊ちゃん」「がんばれー!」「ファイトですよ!坊ちゃん!」「ああっ!そこ!」「危ない!」「よし!ナイス!そのまま!」

「うるせええええ!」


ダンジョンへ同行を許したのはいいが、こいつらは黙って見守るなんて殊勝な事はしてくれない。


ワイワイと煩く喋り倒し、応援と野次を繰り返す。

まあそりゃ、いくら子供でもミミズは余裕だ。

触るとヌルヌルして気持ち悪いが、それだけだ。


1mほどの大きさはあるが、噛みつきは余裕でかわせる遅さだし、尻尾攻撃も見てから十分避けられる。

と言ってこちらの木刀攻撃もミミズ特有のぶよぶよヌルヌルボディに阻まれてダメージはあまり入っている気はしない。

そもそも幼稚園児並の腕力ではそれほど威力が出ないというのもあるが。


「そこだ!いけ!」「ああ、おしい!」「アブね…ナイス坊ちゃん!」

「ああもう!うるさい!黙って見てろ!それか帰れ!」

「坊ちゃんの仰る通りです。静かになさい」

「「「ハッ!」」」


ようやく静かになった。

それにしても、さっきまでお前も応援してなかったか、マークスよ。


まあそこについては突っ込まないでおこうと思うが、何せミミズに決定打を与えられない。

やっぱり腕力のなさが問題なのだろうか。

動きは見切れるし攻撃も当たるのだが、ダメージになっている感じがあまりないのだ。


「ぐぬぬ…ツリーアロー!」


我慢できずに魔法を使う。

当たれば強いとは思うが…


「ああっ!外した!」「そりゃあんなヒモみたいなのには当たらないでしょ」「木じゃなくて炎とか氷ならなあ」「馬鹿っ!それを言うな!」

「うるせえ!静かにしろって言っただろ!」


まあ親指よりちょっと太いかなくらいの大きさのミミズには矢はなかなか当たらない。

そもそも矢は点の攻撃であって…線の攻撃である斬撃や大きなハンマーやそれこそ俺が喰らったトラックのような面の攻撃と違って当たりづらいのは当然で…つまり一撃で当てようとする方が悪いのだ。


「ツリーアロー!ツリーアロー!ツリーアロー!ツリーアロー!」


そんなわけで下手な弓矢も数撃ちゃ当たるってな感じで撃ちまくる。


「お!よっし!」


無事に3発目がかすり、4発目が直撃。

怪しい木を生やしながらミミズを拘束した。


「おおっ!当たった!」「当たった所から木が生えたぞ?」「どうなってるんだ?」


困惑する応援団。

お前らいいから黙ってろうるせえな…


「ふっふっふ。こうなってしまえばいかに強敵と言えどまな板の鯉よ!さあ、我が前にひれ伏すがよい!」

「…坊ちゃん、ミミズは強敵ではなくレベル1のクソ雑魚ですぞ」

「うるせえ!ネタにマジレスしなくていいんだよ!」


マークスの言葉に八つ当たり気味に答え、ミミズを木刀でぶん殴る。

殴る。殴り続ける。

何発殴ったろう。ついにその時は訪れた。


「おわっ。光った!」


俺の全身を光が包んだ。

ミミズはというというと煙のように消え去り、魔法で生み出された木とドロップ品と思われる小銭が残った。10ゼニーか…。リンゴや串焼きも買えないな。

それと、俺の目の前には不思議なボードが浮かんでいる。


カイト・リヒタール

リヒタール伯爵家 嫡男 8歳

Lv1

職業:


HP 12

MP 25


STR 3

AGI 5

VIT 2

INT 13

DEX 6

LUK 8


ATK 14

MATK 14

DEF 4

MDEF 1


固有スキル

樹魔法Lv1


ギフト 

富国強兵




…ふむ。

人間の成人男性が平均10くらいのはず。

魔族は種族によってさまざまだが大体20~30程度はある。

この世界なら戦時はダンジョンや訓練でレベルを上げるのが普通だから大人でレベル1ってのはあんまりいないけど。



「おめでとうございます。無事昇格レベルアップされたようですな。ドロップ品はちと残念ですが」

「おう。これからガンガン…」

「では帰りましょう。もう夕飯のお時間ですぞ」


ふむ?まだそんなに時間はたっていないぞ?

でもまあ飯か。

それも悪くない、悪くないが…


「1匹倒したくらいで何言ってんだ。次行くぞ次」


ダンジョンに来たからには1体だけ味見して帰るなんてことをしては申し訳ない。

俺はレベリングの鬼になるのだ!


「ダメです。今日はこれまでです」

「ちょ、まて。俺はレベリングの鬼にだな」

「なりませぬ。もう夕飯のお時間ですよ」

「飯くらい、待て…アッー!」


レベルが1になったとはいえまだまだガキンチョ。

腕力も体重もない体では抵抗しても無駄だった。

マークスに摘み上げられ、肩に担ぎ上げられたらもう何もできない。

ポコポコと背中を殴って抵抗したが、『心地ようございます。坊ちゃんに肩をたたいてもらえてマークスめは幸せでござりまする』なんて言われるだけだったのだ。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ステータスについて


HP 耐久力

MP 魔力


STR ちから

AGI すばやさ

VIT たいりょく

INT かしこさ

DEX きようさ

LUK うんのよさ


ATK 攻撃力

MATK 魔法攻撃力

DEF 防御力

MDEF 魔法防御力


特にひねりはないです。

RPGでよくある感じですね


戦略パート用に内政、智謀、統率などの数値も別枠でありますが、そちらは閲覧できないものとなります。

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