第15話 焼き肉屋には行きたくないんです。

7/31(日)気温30度

・成瀬家午後18時 リビング

「はあ、焼き肉屋の店長さんすごい美人だったなあ、秋葉君もそう思わない?」

「ま、まあ」

たしかにすごい美人だった。僕は店長さんが美人すぎて最後のほうなんてまともに顔すら見れなかった。もう一人の店員さんはボーイッシュな感じだったなあ。あんなに背が高くてボーイッシュなのに制服の上からでもわかるくらい胸が大きかった。彩希ねえよりも大きかった。なぜわかるかって?それは簡単な話だ。彩希ねえよりも明らかに膨らみが違ったからだ。けどこんなこと言ったら夏帆さんに嫌われそうだ。あのボーイッシュな店員さんもすごく綺麗だったなあ。

「秋葉、そんなに可愛い店長さんだったの?」

ママまでそんなに聞かないでくれ、、。もう店長さんや店員さんのことを考えたくないんだ。考えたら僕の息子が大きくなってしまいそうだ。

「う、うん」

「どんなタイプだったのかしら?」

なんだ、今日のママ?ぐいぐい聞いてくるな?ママも気になるもんなのかな?そんなことを考えていると夏帆が答える。

「えーっと、二人いたんですけど」

「店長さんと店員さんってことかしら?」

「そうです!それで店員さんのほうは体育会系って感じで、黒髪ショートで背が私と同じくらいで、おっぱいおっきかったです」

「そうなのね、大きいと肩が凝るわよねえ」

ママ、なんでそんなに平気な顔して答えるんだよ。羞恥心というものはないのか!?

「で、店長さんのほうはおっとり系で雰囲気はお姉さんに似てました」

「その店長さんはおっぱいは大きいのかしら?」

ママ何聞いちゃってんの!?ママってそんなこと聞く人だっけ!?

「うーん、おっぱいはあんまりおっきくなかったですね」

「そうなのね」

ママは少し笑っていた。なんで笑ってるんだろ?

「あっ、そうだ!」

「ん、どうしたのママ?」

「今度一緒に彩希のいる焼き肉屋さんに食べに行かない?」

「マ、ママぁそれはちょっとぉ」

「なあに?行きたくない?」

夏帆さんは僕の表情をうかがうと、夏帆さんはなぜ僕が行きたくないかわかったようだった。

「あっ、そういうことかあ」

「ん?」

「店員さんと店長さんが可愛かったんで照れて行けないんですよ」

「あら、秋葉そうなの?」

ママはニヤニヤしながら僕に聞いてきた。ママがニヤニヤしてるのも可愛いなあ。

「う、うん」

「うふふっ、秋葉のタイプの女性なのねその二人は」

「そんなことは、」

「よしっ!」

「え、どうしたの急に」

「今日の晩御飯、食べに行きましょ!」

「えっ、それってまさか?」

「ええ!焼き肉屋にっ!」

「ええー--っ!」

「夏帆ちゃんももう一日でも泊ってったらどうかしら?」

「いいんですか!?」

「ええ!彩希も喜ぶわ!」

「じゃあ、お言葉に甘えて!」

「それならもう行きましょ!お店が閉まっちゃう前に」

「そうですね!よかったね秋葉君、またあのお姉さんたちに会えて」

「は、はい、、、」

・成瀬家午後19時 玄関

「秋葉、準備できた?」

「うん」

「じゃあ、行きましょ!」

「はい!」

僕は心臓がずっとドクドクいっていていつまでも鳴りやみそうになかった。

「外食なんて久しぶりだから、楽しみねえ」

「すみません、私まで、」

「気にしないで、好きなだけ食べなさい」

「ありがとうございます!」

2人ともすごいノリノリだなあ。僕も楽しみだけどさっきの店員さんたちにはなるべくバレないようにしよ。もしバレて顔とか身体見ちゃったら、自然とおっきくなっちゃう。いや、もしかしたらあの店員さんじゃないかもしれない。それに男性の店員さんの場合だってあるはずだ。そうだ、そう信じよう。

・焼き肉屋姉妹 午後19時過ぎ

チリンチリン

「いらっしゃいませー」

ママが扉を開けると背の高いお兄さんが立っていて、挨拶をしてくれた。

「何名様ですか?」

「4人です」

「ママ、3人じゃないの?」

「彩希がもうバイト終わるみたいだから一緒に食べると思って」

「そういうことか」

「三名様ですね、お席へご案内します」

店員のお兄さんはそういうと奥のボックス席に案内してくれた。

「さあ、好きなもの頼みなさい」

「うん!」

僕はさっきの緊張など忘れて肉のことしか考えていなかった。僕たちは食べるものを決めるとテーブルの隅にあるボタンで店員さんを呼んだ。

ピンポーン!

「はあーい、ただいまー!」

ボタンを鳴らすとさっきと違う女の人の声が聞こえた。

「お待たせいたしました!ご注文お伺いいたします!」

僕は聞き覚えのある声に顔をあげた。

「あっ、彩希ちゃんの弟君!それと夏帆さんと、、そちらの美人な方は?」

「美人だなんて、そんなことないですよ!私は秋葉と彩希の母です」

ママが照れながら言う。

「えーっ!お母さんなんすね!超美人じゃないっすか!」

「いえ、そんなこと!」

店員さんはママのことを上から下まで見る。

「いやあにしても、お母さんおっぱいおっきいっすね!」

「うふふっ、そういうあなたも大きいと思うのだけど」

ママ、何おっぱいの話で盛り上がってるんだよ。っていうか改めて店員さん見たけどやっぱりおっぱいの主張すごいなあ。制服がパツパツだ。ずっと見てると見てるのがバレそうだが目が店員さんのおっぱいで止まって動かない。

「そんなことないっすよ!お母さんには負けますよ!」

「秋葉君もいいねえ、こんなにママのおっぱいおっきくて!」

「そ、そんなことないです」

「秋葉君は小さいおっぱいのほうが好みなのかな?」

「そ、それは、、、違います」

「あははっ、正直だなあ!」

「あっ、そうだった!注文何にします?」

「じゃあ、これとこれと、、、」

そんな会話をしながら注文を済ませた。

「はーいかしこまりました!少々お待ちください!」

「はい、お願いしまーす」

「了解っす!」

店員さんはそういうと言いキッチンのほうへ行った。っていうかめちゃくちゃ店員さんのおっぱいガン見しちゃったけど気づいてなかったっぼいな。よかったあ。

「店員さん元気な子だったわねえ、あの人かしら秋葉のタイプの女の人っていうのは」

「ち、違うって!」

「そうなの?いい子じゃない、明るい子で」

「まあそうだけど」

「お待たせしました!栄養たっぷりの夏サラで~す!」

そんなことを言っていると最初にサラダが運ばれてきた。

「ありがとうございます!」

「はーい!ライスとお肉はもう少々お待ちくださ~い!」

「はーい、お願いします」

「はい!」

店員さんがまたキッチンのほうへ戻っていくとキッチンのほうから彩希ねえが出てきた。

「あっ、いたいた!」

「彩希、お疲れ様」

「うん、ありがとママ」

「あれ、彩希ねえもう終わったの?」

「そうよ、今日はもうお客さんも帰ってピークが過ぎたから早上がりさせてもらえたのよ」

「そうだったんだ、よかったね彩希ねえ!」

「あんた、やけにうれしそうじゃない」

「いや、そうかな?」

「そうよ、それになんかキモいわよ?」

「え?」

「あー、さっき店員さんに会えたからうれしいんだよ秋葉君は!」

「店員さん?あー世那さんのことかしら」

「せなさんって言うの?あの店員さん」

「黒髪ショートで背の高い店員さんじゃなかった?」

「うん!」

「じゃあ世那さんで間違いないわ」

「世那さんかあ」

「何?あんた世那さんのこと気になってるの?」

「う、うん、ちょっとだけ」

「へえ、世那さんのことがねえ」

彩希ねえは意外そうに僕を見てきた。

「なんで気になるのよ?」

どうしよ、かっこいいのにおっぱいあんなに大きくて気になるからとか言ったら絶対世那さんにこのこと言われて引かれるのがおちだ。なんていえばいいんだろ、そうだ!

「せ、世那さんのこと見ると少しドキドキする」

「え?」

「は?」

「ん?」

場が凍り付いた。ママはグラスを持ちながら止まってるし、夏帆さんはサラダ口に入れながら止まってるし、彩希ねえなんて何こいつ?みたい感じの表情で止まってるし。冷静に考えたら僕の言ったことはまずかったな。単純に考えたら世那さんのことが好きって言ってるようなもんだし。この雰囲気どうしよう。そう思っていると、、

「お待たせしましたぁ!カルビとタンとライスで~す!」

「あっ」

よりにもよって世那さんがこのタイミングで来るとは。

「あれ、どうしたんすか?この空気」

「な、なんでもないです」

「なんでもなさそうっすけど、、」

世那さんが戸惑っていると彩希ねえが口を開いた。

「弟が、世那さんのこと好きみたい」

「え?」

彩希ねえの言ったことが衝撃すぎて言葉が出なかった。僕はもう終わったと思い手で顔を隠した。すると

「それってマジすか!?超うれしいんすけど!」

「えっ!?」

僕は赤くなっている顔を隠すのをやめて顔をあげた。

「へえー、秋葉君僕のこと好きなの?」

え、今僕って言った?

「す、少し気になっただけで、」

「嬉しいなあ!こんな可愛い子に好かれるなんて!」

世那さんはそういうと僕の頭を優しくなでてくれた。

「ありがとね!」

「は、はいっ」

僕は頭をなでられるのが恥ずかしくてまた下を向いてしまった。

「彩希ちゃん!」

「はい!」

「今度彩希ちゃんの家遊びに行ってもいい?」

「いいですけど」

「じゃあ、今度遊びに行かせてもらうね!」

そういうと世那さんは食べ終えてあったお皿を片付けてキッチンに戻ろうとした。

「あ、あの!」

「ん?」

「お仕事、頑張ってください!」

「うん!ありがと!」

世那さんは振り返ってニコッと笑うとキッチンのほうへ戻って行った。

数十分後・・・。

「はあ、もうお腹いっぱい!」

「そうね、そろそろ出ましょうか」

「うん」

そういうと立ち上がりみんなでレジに向かった。レジの受付には店長が立っていた。僕は店長さんの顔を見ないようにして先に店を出た。

「はあ、まだドキドキする」

世那さんの手、気持ちよかったなあ。もう一回頭なでてもらいたいなあ。そんなことを思っていると彩希ねえ達が会計を終えて店を出てきた。

「さあ、秋葉帰りましょ」

「うん!」



















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