第4話 武器や防具の年代について チート武器に頼り過ぎないために

人の歴史に争いありと言われるほど、人類の歴史には多くの争いがあり、今もそれは変わらずに続いている


戦いの中で、戦局を左右するのは、知恵を凝らして地形や戦術を活かした戦い方であったり、単純な数や武器、防具の性能であったり、圧倒的な個人能力であったりした


人類が最も古くに手にしたのは

木や石でできた石器という武器や防具だった

それから金属の中でも

加工がとても簡単な柔らかい青銅の武器防具を経て

より強固な鉄製の武器防具が登場した


鉄の時代は長く続き

火薬が開発されてからは

鉄の筒でできた銃が主流となってきた


そのあと

鋼鉄の戦車が登場し、戦艦が登場し、戦闘機も登場し、長距離弾道ミサイル、レーダーなどなどのより高度な武器や防衛設備が登場している


様々な技術が戦局を左右する時代だ

対人戦でも細菌兵器や化学兵器(酸やガスなど)、火炎銃、ミサイル、核兵器、レールガンなど

際限なく新しい兵器が生まれている



では、数々のファンタジー作品に登場することのある中世世界では、どのような武器や防具が主流だったのだろうか?


先に答えを述べておくと、『鉄』の武器や防具が主流であった


古代ヒッタイト王国が紀元前1200年頃に鉄器製の武器を使い始めてから

その技術は瞬く間に戦争の歴史を塗り替えた

国と国の争いで、青銅の国が駆逐され、鉄器の国が猛威を奮った

あの有名なアレクサンダー大王はマサにこの青銅の時代から鉄器時代への転換で大きな成果を上げた人物の1人だ

時代の寵児であり、鉄に愛された古代マケドニアの王であるアレクサンダー大王は、それまでの強国で青銅の時代に栄えた古代ギリシャやペルシャ帝国という大国に、鉄の武器、鉄の防具で圧倒し、古代マケドニア王国最大の領土を作り上げた。青銅から鉄器への移行期間にあったギリシャ、ペルシャ、エジプトを豊富な鉄器加工技術と乗馬戦術を駆使して支配下とした。当時の世界の3分の1はマケドニア領土だったと言わしめる程、マケドニア王国を1代で急拡大させた。インドまで領土にする勢いを持っていたが、病気で志半ばに倒れたという


世界史から見ても武器や防具の性能と戦術の組み合わせで、これほどまで苛烈なドラマを産むものなのだ

自身の作中でどのような時代背景にあって

どういった性能の武器や防具を

登場人物達に持たせるかは

非常に悩ましいテーマだろう


よく神話などに登場するようなチート級の武器や防具は

神話クラスの登場人物が持つのであれば

物語の引き立て役になるが

一般的な作品の中で強すぎる武器や防具をなんの試練も無く、なんのドラマも無く、出自や云われなどなく持たせてしまうと

主人公や登場人物の魅力を引き立てるよりも

むしろ武器や防具が強すぎるという印象を

読者に与えかねない

むしろ、一般的な誰でも扱えるコモンクラスの

武器と防具で強敵を倒すような活躍を見せた方が

盛り上がることもある


だからこそ、その時代のスタンダードなラインを決めておくことが重要だ

高性能な道具や武器に頼らず

いかに登場人物達を引き立たせるかを考えることも

時には作品としての面白みを出す良い演出になると覚えておこう

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