第9話 安祐美視点①

午後の授業になった。


たっちゃんは遅れちゃったみたい。


‥‥多分、後輩の由貴ちゃんが話しかけたのかなぁ。


「‥‥たっちゃんのバカ。」


分かってる、たっちゃんが悪いわけじゃない。


「でも、私を優先してよ‥‥。」


私、いつから、我儘になっちゃたのかなぁ?


「たっちゃんを好きになってから‥‥?」


そうだ、じゃあ、6歳くらいかなぁ?




「たっちゃん!たっちゃん!

見て見て、これ!」


そうして、見せたのは私とたっちゃんを描いた絵だった。


「おぉ!ありがとう、安祐美ちゃん!!」

そう言って、ニカって笑うたっちゃん。



その時かな?

意識し始めたのは。


「もっと、立派な理由だったら良かったのに‥‥。」


でも、まぁ、たっちゃんを好きなのは変わらないし、良いのかなぁ?


そうこうしていると、たっちゃんが来た。

‥‥柚木くんと。


「良いなぁ、柚木くん。」


やばい、やばい、男の子にも嫉妬しちゃった。


「少し離れよ‥‥。」


これ以上、嫉妬したくなくて、近づかないことにした。


‥‥でも、これが失敗だった。

自分から避けて、禁断症状が出た。


たっちゃんに抱きつく形で。


(ど、どうしよう?でも、たっちゃんから離れたくないよぉ〜。)


そして、ある視線に気づく、

屋嘉くんだ‥‥。


(この人はかなり苦手だ。)

ジロジロ見られるから。


なんで、この人、女子に人気あるんだろう?

たっちゃんの方がカッコいいのに。


そうしていると、女子の走る番になった。

私はたっちゃんから離れないといけなくなった。


「嫌だぁ〜。」


「はぁ、そんなこと言ってないで、さっさと行け!」


「え〜、でも、たっちゃんも私から離れたくないでしょ〜。」


そう言うと、たっちゃんは顔赤くして背ける。


「‥‥そんなわけないだろ、早く行け!」


怒られちゃった!

でも、照れながら、怒るたっちゃんも可愛いなぁ〜。


どうしよ?

たっちゃんのことしか、考えられない。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る