第8話 午後の授業でも、限度がある。②

そして、俺と屋嘉が走る順番になった。


「やぁ、山内君〜。準備は出来てるか〜い?

やっぱりぃ〜、緊張してるのかなぁ〜?

まぁ、僕はしてないけどぉ〜。」


ホント、コイツどうにかならない?

交通事故くらいでもいいから起きてくれないかな?


「あっそう。」

もう、コイツとな会話この典型文だけにしよう。


そう思っていると、号令が響く。


「位置について〜!

よ〜い、ドン!!」


その言葉を合図に、俺達は一斉に駆ける。


だが、それでも、屋嘉は早く。

少し、また少しと距離が離れていく。


そして、結果は屋嘉の勝利となった。


記録は屋嘉が6.3秒、俺が6.6秒となった。

お前も早いのかよ。


そう思っていると、

「お〜い、頑張ったね〜!」

と、安祐美が駆け寄ってきた。


「やぁ、安祐美さん、僕は」

と、屋嘉が言うのを、遮るように安祐美が俺に抱きつく。


絶望という顔をする屋嘉。


ちょっと申し訳なくなる俺。


嬉しそうな顔の安祐美。


‥‥何?このカオス。


そうして、男子の50m走の練習は終わった。

それでも、俺に抱きつく嬉しそうな安祐美を俺は離した。


‥‥まぁ、メッチャ抵抗されたけど。

そんなこともあり、女子の50m走が始まった。


安祐美の走る順番となった。

どうやら、安祐美も陸上部の女子と走るようだ。


そして、スタートした。


周りの男子が

「なんだ、あの胸!」

「可愛いくて、あの胸って!」

と、大盛り上がりだった。


「まぁ、いいけど。」

ちょっと、嫉妬した。


そして、安祐美はどんどん加速していき、相手を抜き去り、勝った。

後に聞いた話だと、6.5秒だそうだ。


‥‥俺より、早いよ。


安祐美が走り終わって、俺が安祐美の側に向かおうとした。

それでも、安祐美はスピードを下げずに走る。


「なんで?」


そして、その勢いのまま、安祐美は

俺にダイブした。


それから一言、

「絶対に!たっちゃんを誰にもあげない!!」

と、叫ぶように言う、安祐美。


そうして、5時間目の授業が終わった。











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