第5話 午前の授業中でも、限度がある。

あの後、普通に授業が始まった。

授業は、SHRからそのまま池谷先生が担当だった。

ちなみに、池谷先生は国語総合の担当だ。


「じゃあ、授業始めるぞー。」


その言葉を合図に、全員が席に座った。

この高校の偏差値は50前後で

普通の子が多い。だから、皆んなだらんとしている。


「教科書15ページを開けー。」

俺達は今、2年の4月中頃で授業が始まって、まだ、日が経っていなかった。


「とりあえず、出席番号1番から読んでけー。」


こういう時、出席番号の早い人は可哀想だと思う。

俺は35番だ。


そんな事を思っていると、隣の安祐美が俺の肩をツンツンと突っついてきた。


無視しよう。今は授業中だ。そう思って、 ノートを書いていく。


ツンツン


かりかり


ツンツン


かりかり


可愛い、

どうしよう?

無視が大変になってきた。


ツンツン


かりかり


ツンツン


かりかり


なんで、池谷先生は安祐美を注意しないんだ!!

‥‥あぁ、安祐美の頭が良いからか。


安祐美は、俺と一緒の学校に行くためにこの高校にきた。

実際の偏差値は75くらいはあると思う。


もっと頭の良いところに行ってくれても良かったのに。

‥‥‥ダメだな、こんなの『無責任』だ。


「はぁ、安祐美いい加減にしろ。」

そう言って振り向く。


「あ、やっと、振り向いた。」

そう言った安祐美は、頬杖をついて俺のことを見つめていた。

うん、なんか、美術館に飾られていても、

違和感がないな。可愛い。


「そうじゃなくて、なんで、そんな事するんだ。」


「え〜、だって〜、たっちゃんを口説き落とすために、私は、この高校選んだんだよ〜。」


そう言ってはにかむ笑顔の安祐美はさらに魅力的に見えた。


「そんな必要ないだろ、前を向け。」


「へ〜、必要ないんだ。

‥‥‥たっちゃんが惚れ込んでるから?」


あ〜、やばい、見惚れる‥‥。

‥‥なんで、こいつはこんな事言うんだ!


そう思っていた俺は今の授業担当を忘れていた。


そして、すぐに白い棒もとい白いチョークが俺のこめかみに直撃した。


「こらー、山内ー、またお前かー。」


そして、また、怒られる俺。

‥‥俺が悪いのかな?






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