本と心に巣食う虫の物語

曝書。本のカビや虫食いなどの損傷を防ぐために行う虫干しの一種だそうです。古くは宮廷行事としても組み込まれていたほどだとか。

この作品は武蔵野の図書館に所属する主人公の「私」が曝書を行うというもの。
文化財をより長く保とうとする行為の公的さと、主人公が先輩に抱く私的な感情のコントラストが眩しく映ります。
窓を開けて。風に当てて、陽を当てて。曝された本と相まって、そうはならない心の描きようが圧巻です。読み手の心に重くも清々しいものを残してくれます。

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