【🔁】

 ここは、ベッドの上。

 明るいなあ。

 何をしていたんだっけ。

 パシャパシャ音がする。

 いつから寒いのだろう。 

 寒い?

 そう、肌がすうすうとして、寒い。

 お外?

 いや、違う。

 なあんだ、自分の家にいたのか。

 誰かの声がする。

 どうして、ベッドの上にいるのだろう。

 なんで、みんな、私から、離れていっちゃうの?

 今は、夏?

 それとも、お正月?

 誰かが、誰かの名前を呼んでいる。

 誰か、ああ、多分、私の名前だ。

 もう一人の誰かは、誰?

 あっ、ああっ、天使の声だ。

 私の天使。

 私だけの天使。

 瑠璃。

 これは、瑠璃の声。

 笑って?

 ああ、天使が、私に向かって、笑ってと言っている。

 かわいい子。

 しょうがない子。

 どこにいるの?

 どこ?

 どこ?

 ああ、そこにいたの?

 まあるい光の輪の下に、天使がいた。

 まるで、本当の天使みたい。

 あああああはあはは。

 いやだ、もうやめて。

 ……何を?

 輪の中に、お魚の目が見える。

 天使が、こっちを見てと言っている。

 私は、カメラのレンズに向かって、にっこりと微笑んだ。

 パシャッと音がした。

 途端に、視界も、頭の中も、また真っ白になった―――。

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🔁~Repeat Playback~ 椎葉伊作 @siibaisaku6902

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