第3話 雑念雑念…。
疲れた…。
今はバイト中だが、平日だからか人が来ずかなり暇を持て余している。
終了時間まであと2時間。長すぎる。
「先輩…、あの、手伝っでくだざいっ!」
そこには少し高めの棚に入ってる物をとろうとしている東藤がいた。
背伸びしているだけかと思ったが、ご丁寧に台まで使っても取れないらしい。
「あぁ、届かないのか。待ってろ。ほら。」
「ありがとうございます。あとちょっとだったのにな。」
「今のがあとちょっとだったら相当時間かかったな。」
「うるさいです~。」
正直なところ、背伸びして物を頑張って取ろうとしてる姿は少しだけかわいいと思う。
少しだけな!?
東藤は顔は可愛い方だと思うし、そこそこモテると思うんだけどな。
モテてないとも言ってないけどな。
「なに百面相してるんですか?」
「いや、別に。」
「はぁーん。そうやって溜め込むのは良くないですよ~?ほらほら、後輩ちゃんに話してみませんか~?」
「大丈夫だって。溜め込んでもいないから。」
「あんな百面相してたのですか?まぁ、いいや。」
「いいんかい。」
「はい!帰りに聞くので覚悟しててくださいね。」
「はいはい、覚えてたらな。」
もーって言いながら仕事に戻って行った。
あの小動物みたいな行動は見てて飽きない。
ドジそうに見えて意外としっかり仕事はできるし、物覚えもいい。
初めてバイトに出勤したときは緊張で空回りしまくってたけどな。
そういえば俺って、あいつの初出勤で研修したんだっけか。
懐かしい。
『初めまして。東藤あまなです。バイトは初めてです。高校2年生です。よろしくお願いします。』
『そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。』
『はい。でも第一印象は大事かなと思いまして。』
『そんなカチカチじゃわからないから大丈夫。』
すっごいかっちかちで自己紹介されたし、なんならすべてが初めてだから目がキラキラしてたよな。
あれはあれで可愛かったかもな。
って、俺は何を!?
なんで東藤の事ばかり考えてるんだ。
仕事に集中集中。
「お疲れ様でしたー!!」
「お疲れ。」
「やっと終わった。あれ、店長はどこ行きました?」
「帰った。」
「またですか~!?」
「あぁ、だから俺らも早く帰るぞ。」
「はーい。」
この店の店長は社員なのに日報だけ書いてそそくさと帰ってしまう。
それでもなりたってるんだからこの店ってすごいよな。
普通こんな事ありえないけどな。
「お待たせしました!」
「おう。」
「なんで目をそらすんですか?」
「別に意味はないし、そらしてもいない。」
嘘だ。
さっきいろいろ考えてしまったからか、変に意識してしまっている…。
「そういえばさっき聞きたいことがあるって言ってたが何だったんだ?」
「え、覚えていてくれたんですか!?嘘、やば!!」
あ、やってしまった…。
そういえばさっき覚えてたらな、とか言ったのに自分から振ってしまった。
腹くくるしかないかー。
「んん゛っ。じゃあ遠慮なく!」
「はいはい、手短にどうぞ。」
「手短に!?えっと、百面相してた理由はなんですか!」
「考え事をしていたから。」
あー、この答え方はまずったな。
これだと多分…
「何の考え事ですか?」
だよな。
どうするか。
東藤のこと考えたなんて口が裂けても言えないしな。
「それは、まぁ、男の子ですから。」
「なっ…な、先輩…。」
「引くなよ。」
「バイト中になんてことを。」
「何を想像したんだ?」
「え、だって男の子ですからって…。」
「別に俺は変な事考えていたとは言ってないし、帰ったら妹の相手しなきゃなーとか考えていただけですー。」
「そ、それなら初めからそういえばよかったじゃないですか!!もう!」
ふくれっ面になっちゃって。
まぁ、いつもからかってきたお返しということで。
「そういえば先輩って妹さんいたんですね。」
「あぁ、高校2年だから東藤と同い年か?」
「高校2年だとそうですね。妹さんと仲良くなりたいです!」
「やめとけ。」
「なんでですかー!」
「めんどくさくなりそうだから。」
「もう、いつか絶対に会わせて下さいね!」
「はいはい。いつかなー。」
とか言ってたらその後、妹がランニングしているところに遭遇してしまい、見事にフラグを回収したわけだが…。
驚いたことに2人は知り合いだったらしく、かなり意気投合してた。
これからまた騒がしくなりそうだな…。
-つづく-
読んでいただきありがとうございます。
ぐいぐい来る系の女の子ってあまり好かれないイメージあるんですよね…。
でも押せ押せタイプの子ってちょっと萌えません?
なんて。
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