第6話

夜、寝てたら、

「明日から修学旅行ですね~」

っていう、女の子の声、聴こえてきた。

「いいな~、修学旅行。うちも明日、ついて行こうかな!」

っていうから、

「べつに、いいですよ~。ついて来ても...」

って、寝ながら答えてしまった。


修学旅行は岐阜・長野方面だった。

朝、中学に集合して、電車に乗って、岐阜まで行き、バスに乗りかえて、雄大な山々の景色をバスの中から眺めていた。

「きれいな山の景色ね~」

って、耳元で女の子の声、聴こえてきたから、近くの同級生の女子の声かと思って、

「大阪だと、なかなか見れないような景色かも」

って答えたら、

「うちよっ!うちっ!いつも部屋で、11:11になったら、あらわれてる、わたしよっ!」

って、耳元で聴こえてきた。

「この声は、あなたにしか聴こえてないのよっ!修学旅行について来ちゃった」

「え~、いつも、部屋で11:11にあらわれてる、あなたでしたか?」

「はじめて、部屋の外に出ちゃった...」

「やっぱり、女の子だったんですね?」

「はじめまして、かえです」

「あっ、はじめまして、かよちゃん。あやめです」

「かえだよ~っ!」

「あっ、かえちゃん。こんにちは~」

「修学旅行って、いいですね~。雄大な山々の景色、広がってますね~」

「あっ、ほんまそれっ。美しき自然の風景です」


長野の善光寺に到着した。

1人で歩いていたら、

「やっぱり、修学旅行、ついて来てあげて良かったわっ。まだ誰も、お友達いないの?」

「中学では、仲の良い女子の友達もいるけど、なぜか今、たまたま、1人になっちゃったのっ」

「いいわっ、いっしょに歩いてあげるから。伊勢さんに、あなたのこと、よろしく頼まれてるからねっ」

「伊勢さん?」

「百人一首とかで知ってるでしょ」

「ああ、あの伊勢さんなら知ってます。って、詳しくは知らないけど」

「2人で善光寺に来たこと報告しとくわねっ」

かえちゃんといっしょに、善光寺の緑あふれる木々の道を歩いた。


そのあと、鬼押出し園に行った。

「うわ~、あやめちゃん、見て、見て~。きれいな色の湖ね~」

「ほんまや~。面白い地形です~」

「何で鬼押出しっていうところなの~?」

「さあ~、知らないけど、鬼を押出すんじゃないですか?」

「そのまんまやんっ」

「2人の間の鬼も押出されたんじゃないでしょうかね~」

「へ~、ほんまに、そんなとこなん?」

「...知らんけど」


宿泊先に到着した。

担任の先生に、

「あやめちゃんは女子のほうの部屋で宿泊することにしてあるけど、それで、いい?」

って聞かれたから、

「あっ、それでいいです。ありがとうございます~」

って先生に言って、それから、女子の友達といっしょに、女子の部屋に行って、しばらく、くつろいでいた。

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