異世界の料理本

パーピー鳥の狩猟クエスト

　パーピー鳥がミッカの畑を荒らしてるんだ。冒険者さん、狩猟を頼んだぜ。お礼に旨いパーピー鳥の丸焼きを用意するからよ！

～ミッカ畑の持ち主　フェリル～

　パーピー鳥は手のひらサイズの一見可愛らしい鳥だ。だが、果物畑の持ち主からは忌み嫌われている。

　というのも、この鳥の主食が果物で、かつ風の魔法を使えるので対策が難しいからだ。

　なので、この鳥が活発に活動する冬は冒険者ギルドに狩猟依頼がよく舞い込んでくる。

　魔法が使える鳥の中ではかなり弱い部類の害鳥なので狩猟自体は難しくない。だが、果物畑に被害を出さずに狩猟するのは少し難しい。

　小さい弓や、投げナイフで狩るのが一般的で、魔法を使うと周囲に被害が出て良い顔をされないので注意。

　この鳥の狩猟クエストの人気は高い。というのも、狩猟後に果実畑の主にこの鳥の丸焼きを提供してもらえるのだ。

　小さいとはいえ肉は肉。しかも美味しく、また一緒に提供される果物も採れたてで美味しいとくれば人気が出ないわけがない。

　また、この鳥自体、めったに市場に出回らない。というのも、羽をむしると腐敗が早いのだ。

　以下にミッカの実畑で狩猟したパーピー鳥の丸焼きのレシピを記しておく。

材料：パーピー鳥

　　　ミッカの実

　　　砂糖

　　　塩

・パーピー鳥を処理する。羽をむしり、半分に割るように切った後、内臓を取る。魔法を使う動物によくある魔法袋の処理には注意。羽のむしり忘れが無いよう、低温の火であぶると良い。また、骨は可食なのでとる必要はない。

・ミッカの実は横半分に切って、砂糖をまぶし、火であぶっておくとうま味と甘みが増す。皮は苦みと爽やかさを味に与えるので普通は外さないが、苦みが嫌なら外してもいい。

・今回は、ミッカの実を主食としたパーピー鳥を使うのでミッカの実を使うが、例えばリィモ畑のパーピー鳥なら、リィモを使用するのがいい。ミッカの実はオレンジ色の果汁が小さな袋に入り、大量に詰まった果実で、果汁の甘さがオッレの実やリィモの実よりも上品。

・半分に切ったパーピー鳥の肉を皮を上にして、塩を軽く振って炭火でじっくりと焼く。生の状態は論外だが、火を入れ過ぎるとうま味の深い脂が無くなるので注意。特に、皮を下にすると皮の脂が落ちてしまいパッサパサになる。

・表面をあぶったミッカの実をお皿にして、その上に丸焼きを乗せると完成。表面はパリっと、中は爽やかであっさりと上品。ミッカの実と一緒に食べよう。

以上。

　パーピー鳥の狩猟クエストは高くないランクの冒険者が行うクエスト。高ランク冒険者は、いくらこの丸焼きが食べたいとしても横取りしないように。