プロローグ ②
恨んでくれて構わない。
輪廻の外へと追いやった私を。
憎んでくれも結構だ。
秤にのせた心臓を選んだ私を。
呪ってくれたらありがたい。
おかげで世界が平和になる。
終わりの見えない戦いの果てに。
お前が世界の礎となる。
構わない。
愛してはいた。
大切にもしていた。
だけども私は。
どうしようもなく世界が私を見ていたのだから。
分かってくれとは言わない。
理解してくれなんて望まない。
俺も、あいつも。
納得なんてできる訳がない。
どうしようもない事は分かっているんだ。
どうにかしたい気持ちは伝わっているんだ。
だけど。
だけど、なんでお前なんだ。
あいつの代わりが、何でお前なんだ。
あいつとお前は、離れて良い訳がない。
お前達は繋がってないといけないのに。
お前達は、幸せにならなきゃいけないのに。
もういいよ。
決めたんだろ。
あのお方も、あいつも、そしてお前自身も。
なら俺は、従うだけだ。
ああでも、だめだ。
全てを壊したくなる気持ちでいっぱいになる。
分かってる。
あのお方は最後まで悩んだんだろ。
あいつは、俺以上に苦しいんだろ。
それでもお前は。
悲しみを押し殺して、笑顔で決めたんだろ。
俺はお前の意思を尊重する。
だから、今だけは。
俺とあいつを泣かせてくれよ。
ゴメンナサイ。
ゴメンナサイ。
何百、何千の謝罪を紡いだとして。
あなたに決して届かない。
あなたは決して受け取らない。
分かっていたの。
あなたが優しいことも、私達を大切にしてくれていることも、私がこの世界と同じくらい、あの人を愛していることも、全部。
私が弱かったから。
私があのとき、あなたに取って代われば。
違う。
代わりたくなかったんだ。
私は、あの人のそばを離れたくなかった。
私は、最低だ。
罵倒してくれれば良かったのに。
否定してくれれば良かったのに。
あなたは。
あなたは何で、私なんかに優しくしてくれるの。
私なんかに。
ゴメンね。
大丈夫、分かってるわ。
あなたとの約束は、絶対に守るから。
あなたがあなたを思い出しても。
あなたがあなたと知らないままであっても。
私は、この世界を守ってみせる。
光も闇も全てを愛してみせる。
それが。
私を愛したあなたに出来る、あなたを愛した私の償いだから。
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