Day3-17 寮でネレアと


寮の入り口にまで行ってみるとネレアがいた。


ベンチコートのような丈の長い服を着ている。



「ごめんね、こんな時間に」


「全然。どうかした?」


「今日、ヒロト君と会えなかったから……。顔を見たくなって」


「そうなんだ。実は僕もずっとネレアのことを考えてたんだ」


「え、本当に!? うれしい!!!!!!」

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 <<< ものすごく大きな声 >>>



……耳がキーンとなった。



「あ……ごめんなさい。うるさかったよね」


「だ……大丈夫だよ。次からボリューム調整してもらえたら」


「うん……。明日のコンサートのために、今日はリハーサルで声を作ってたものだから、最大級の声が出ちゃった」



照れくさそうに頭をかくネレア。


そんな仕草もかわいいなあ。



「よかったら中に入りなよ」


「ありがとう。でも、ほんのちょっと顔を見に来ただけだから」


「じゃあ、そこで話す?」



僕の部屋は2階にある。


1階には談話室があり、そこまでネレアを招き入れる。



「男子寮ってこんな感じなんだね」


「女子寮とだいぶ違う?」


「そうだね。私のところは、もうちょっとおしゃれな感じだよ」



言われてみれば、この建物はあまり飾り気もなく、無骨な感じである。


男子寮だから、こんなものかとも思っていた。


ルリノさんいわく、学園に一人しかいない男である僕は、王様のようなものらしい。


だったら、もっとゴージャスな場所をあてがってくれてもいいのかもしれない。


かと言って、本当に宮殿のようなところに住みたいかと言われたら、そうでもないかもしれない。


……やっぱり、こじんまりした部屋の方が落ち着くと思う。



「あのっ! ヒロト君……今日はこれを見て欲しくって来たんだ」



コートを脱ぐ彼女。


下には鮮やかなドレスを着ていた。


アイドルチックだけどポップ過ぎない雰囲気で、非常に美しい装いだ。



「コンサートのラストで着る衣装なんだ!どう?」


「うん、すごく似合ってるよ!」


「へへ、ありがとう。誰よりもに先に、ヒロト君に見て欲しかったんだ」



笑顔がかわいい。


思わず抱きしめてしまう。


いい香りがする。


彼女は僕の方を見つめて、目を閉じる。


僕は彼女と唇を重ねた。




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イベントの終わりまでスキップ


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エルナに紅茶を入れさせて、少し落ち着いてからお開きとした。


なあエルナ。


ネレアに対しても直接『奥方様』って言うのやめろよ。


ネレアは困っているような喜んでいるような表情をしていたが……。



ネレアの帰り道が心配だったが、寮の前に護衛付きの馬車を控えさせていたそうだ。


うん、あの声は絶対聞こえていたな。






さて、明日のコンサート、今から楽しみだな。




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エ○ゲーが大好物だけどHシーンのイベントムービーはスキップする派の異世界日記。最初は主要人物が順番に登場するのがデフォだけど、いきなり初日から5人もの女の子とやらかしてしまった…… 瑠々連蒼 @gacha25974

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