25話 いやなにこれ。

25話 いやなにこれ。


「それでね聖一。覚醒の条件なんだけどね。」


ハネビが覚醒の条件を喋り出す。


「お、おう。条件はなんなんだ?」


急にハネビは赤面する。


「は、恥ずかしいよーん!」


「大丈夫よーん。あなたなら言えるよーん。」


母親のハハネビがハネビを勇気づけている。


(な、なんだろう?そんな言いにくい事なのか。)


「わ、私を後ろから抱き締めたあとに……えっと」


「う、後ろから抱き締めたあと……」


あまりの緊張で恥ずかしそうにモジモジしながら喋るハネビの姿を見て、何故か聖一も緊張してきたようだ。


「嫌がる私を四つん這いにさせて……」


「い、嫌がるハネビを無理矢理四つん這いにさせて……ごくり」



「私の腰に座って…」


「ハネビの腰に座って…」


まわりの人間たちも何故か緊張しはじめた。


「…ごくり」



「羽を根本から羽先まで撫でて欲しいよん。……恥ずかしいよーん。」


「羽を根本から……撫でれば良いのか。」


(なんかよくわからない行動だな。という気持ちとは裏腹に、なんかすごい恥ずかしい気持ち。)


「最後にもうひとつ条件があるよーん。」


「え!……ど、ど、どーんとこい。なんだ?」



「皆が見てくれている前でお願いするよーん。」


「た、た、たやす、たやすいこと…たやすいことだ。」


(え、え、えぇ!ちょちょ、ちょまてよ!ちょっと待って恥ずかしいぞ!!!!)



ハネビと、ハハネビがよく言えたと抱き合っている。



「お願いしますよん。」


ハネビは何故か涙目だ。


「よしいくぞ!!ちょうどギャラリーもたくさんいる!皆!見ててくれ!!」


まわりの皆も何故か恥ずかしそうにしている。


「は、は、はいでありますです。」


「ね、眠気がとんだわ。恥ずかしいけど、ちゃんと見届けるわよ。」


マホとシャマも気持ちが入っている。


「見届けるんだから!」


「ワシにも羽が生えてたら聖ちゃんに撫で撫でしてもらうのじゃがの~う。ごふ!ムスメ!なぜワシの腹を肘打ちするのじゃ!」


(強烈~。ジャイ大丈夫か?)


ムスメとジャイも応援する。


スミフもハイエルもアントも応援する。



「いくぞ。」


「はいなのよーん!」



後ろから抱き締める。ハネビと羽を包むように。


「ぁっ。」


ハネビが体をこわばらせている。



(恥ずかしくて泣きそう。頑張れ俺。)


「きゃぁぁ!やめて!!」


「はっはっは!抵抗してもだめだぞ!おら!」


嫌がるハネビを四つん這いにさせる。


「こんな格好にさせてどうするつもりなのよーん!!」


「こうするのさ!」


ドカッと、ハネビの腰に座る聖一。


「やめて!お願いだからやめてなのよん!」


「やめないぞぅ!根本から羽先まで、羽をすぅーー。」



「きゃーー!!!!!!!」


(いや……なにこれ!!恥ずかしさで死にそう!!)



するとハネビが光輝き始めた。


(か、覚醒したか?よ、良かった終わりだ。はー恥ずかしかった。)


身長と羽が5センチほど伸びて、女性らしい体つきになっている。


「やったよーん!覚醒したよーん!」


「おー!おめでとー!」「パチパチ」「やったー!」


周囲の皆も祝福しているようだ。



(これで諸々の運搬業務は任せられる。さて、あとはビッグバンベヒーモスが来るまでに間に合わせられるかだな。)

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