26話 あと3日
26話 あと3日
仲間が増えてから、かなり日にちがたった。
ビッグバンベヒーモスがこの決戦が原にやってくる日にちは着々と近づいている。
決戦まではあと3日といったところだ。
二枚の防壁の建設。
大量の罠の設置。
決戦当日の準備が着々と進む。
(決戦の日が近づいてみんなの熱気も高まってる気がする。ビッグバンベヒーモス。本音言うと俺1人で勝てるかもしれない。それなら誰も傷つかないで済む。でも勝てないかもしれない。必ず勝たなくちゃ。だって負けたらこの世界ごと滅亡の道を辿るわけだし。)
考え事をしながら作業をする聖一。
聖一とハネビ達で資材を運ぶ。
基本的に、木材や石材はハネビト族が運ぶ。
ただ、大量だったり大きかったりするモノ等は聖一のブラックホールを使って運んだりする。
2トン近い石材をブラックホールにいれた聖一をハネビが軽量化の魔法をかけてヒョイと抱える。
「じゃ、飛ぶよーん。」
抱えられた聖一が恥ずかしそうにしている。
(これ結構恥ずかしいのよね。)
そしてブゥーンと羽音を鳴らして上昇する。
(ほんとこの浮遊感、クセになっちゃうわー。)
完成間近の防壁。
その各所に石材を運んでいく。
そして罠作りにも木材や金属が必要なので資材を運搬する。
時にハネビに抱えられて移動したり、自分でピョンピョン移動したり、朝からずっーと資材の運搬を頑張る聖一。
(俺、なんか前世の世界でいう宅配業者みたいだな。)
ぐぅー。お腹が鳴る聖一。
(腹減ったー。もう昼かな?!)
「昼飯~♪♪」
キリのいい所だったのでムスメが昼御飯を作る厨房へ向かう。
「お昼ごはん出来たんだから!配達手伝ってなんだから!!」
「お、おう。」
(また運搬…。)
「あ!?おにぎりだ!よっしゃ!」
(米が食えるなんて嬉しいな~。ハネビト族のおかげだよ。本当。)
各地を飛び回る、運送業的な仕事が多いハネビト族は米の情報を持っていた。
この世界で米が食えると思っていなかった聖一は喜んだ。
往復2週間かかる場所で米は買えると聞いたらいてもたってもいられなくなった聖一。
なんと米を買いに行って丸2日で戻ってきた。
(飲まず食わず眠りもせず猛ダッシュだったなあの時は。米が食えるのは本当に嬉しいわ~。)
聖一とムスメが各員におにぎりを配りにいく。
ムスメが作った大量のおにぎりをブラックホールに入れる。
そしてムスメをお姫様抱っこしてピョンピョン飛んでいく。
「よし皆、腹すかせてるだろうし!いくか!」
「行くんだから!腕によりをかけたんだから!」
聖一とハネビが来たのは簡易の砦である。
「おー!皆!昼飯もってきたぞー!!」
冒険者ギルドから派遣されてきた冒険者たちがはしゃぐ。
「まじマンジ~!好きピと世界のために頑張れうちら、マジさいきょー!昼ご飯はムスメちゃん特製おにぎりよー!!」
「うぉおー!!!!」
嬉しそうに食べるのを見て、喜ぶムスメ。
「ゆっくりたべてね、なんだから!ウフフ!」
皆凄い勢いでおにぎりを食べていく。
冒険者組は、ギルドマスターのギルマの指示のもと決戦用の武器に魔法を込めたり、罠の作成をしている。
「よし!じゃあ次行くか!」
「うん!次なんだから!!!エヘヘ。」
次は建築組だ。
さっきまでハネビに抱えられていた聖一がムスメを抱えて、ピョンピョン跳び跳ねていく。
その近づいてくる姿にジャイが気付く。
「あれ?あれは!聖一さんとムスメ。ってことは、昼飯ですじゃー!!!」
「おおぉー!」
「ひーるめーしー!!!!」
ジャイが皆に声をかける。
「大工さんたち!アントさんたち!休憩にしましょうですじゃ!!!!」
実は、アントの父親チチアントと大工の棟梁がプライドの高さゆえ建設作業中に揉めることがあった。
そこで年長者のジャイが建築の事はなにもわからないが、リーダーをやることになった。
名ばかりのリーダーだがジャイの人柄か、ジャイアントヒューマン族と人間の大工は揉めることが無くなった。
聖一とムスメが届けたおにぎりを早速ジャイが食べるようだ。
「いただきまーす!!!もぐもぐ。いやー!おにぎりがうまいですじゃ!うまいと言ったらチチアントさんと大工の棟梁の建築技術!はーっはは!もぐもぐ。はーっはは!もぐもぐ。」
「はは。ジャイさん面白いなぁ。もぐもぐ。」
「ジャイさんには敵わんよ。もぐもぐ。」
(ジャイ!凄いコミュニケーション能力だ!一時ピリピリしてたのに。皆笑顔だ!)
「よし次行こうか。」
「行くんだから!」
次は罠作りをしている。ハイエルフ達の所だ。
シャマが向かってくる2人に気付く。
「あ!お昼ごはんでありますです!!」
「ちょうど、何か口にしたいと考えていた所でございます。」
「聖一様、ムスメ様、ありがとうございます。」
(ハイエルフは本当丁寧だな。)
実はここもハイエルと、ハイエルの母のママエルがどっちがリーダーをするかで揉めた。
(あの時は本当焦ったよ。2人とも頑として譲らないんだもん。)
ちゃんとしたところを見せたい娘のハイエルと、まだ自分の背中を見せたいママエル。
2人の気持ち、どちらもわかる。
これはどうしたものかと考えていたらシャマがリーダーに名乗りをあげた。
種族的には同じエルフ族でもワンダーエルフ族は尊敬される存在らしく、すんなり受け入れられた。
「皆ー!食べるでありますですよー!!」
「はい!」「いただきます!」
なんかシャマよりも背の高いハイエルフの皆がペコペコしてるのはちょっとほほえましい。
「よし!あとはこの辺の偵察に出てるマホだな。お?マホだ!おかえりーー!」
「ただいまー!」
「おかえり!一緒におにぎり食べようなんだから!」
皆に配り終わってマホが偵察から帰ってきたので一緒におにぎりを食べる。
「まだビッグバンベヒーモスの反応はないわ。今日とか明日に来ることは無さそうね。もぐもぐ。おいひぃ。」
「そっか。準備ほんとギリギリだからな。それは朗報。もぐもぐ。おいひぃなー。」
「偵察お疲れ様なんだから。もぐもぐ。ほんほおいひぃ。」
おにぎりを美味しそうに頬張る3人。
そこへ伝書鳩が届く。
ビッグバンベヒーモスの近くにいて見張っている伝令からのようだ。
「え、なになに。ビッグバンベヒーモスがここの一番近くの街に到達。人間は避難が完了しているので人的被害は無い。しかし街は完全に破壊。こちらに向かっている。決戦が原に到着は3日後の正午だと思われよ。…だってさ。」
「そう。やっぱり3日後なのね。…もうすぐね。」
「ああ。」
「私が蹴散らすんだから!シチューにしてやんよなんだから!」
ムスメが何故か息巻いている。
(とうとう決戦が近づいてきた。果たして俺たちは勝てるのだろうか。)
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