第13話 帰還

13話 帰還


一同は街の中へ入る。


「皆を紹介したいし、1回家に戻ろう。」

「そうね。」


「聖一さんの恩人でマホさんが家族同然の方でありますですか?ワクワク。」

「「「「ワクワク」」」」



5人増えた状態で聖一とマホはジャイの家に帰ってきた。


「ただいまー!」

「帰ったわよー!」


2人の声に


奥からひょっこりとムスメが顔を出す。


「お、おかえりなさいなんだから!し、し、心配したんだから!あ、あ、暖かいシチューならできてるんだから!…あれ?ひ、人がめちゃめちゃ増えてるんだから!!」


ムスメは2人が帰ってきた喜びのあとに、知らない人が多くて驚く。


「ひ、人見知りなんてしないんだから!」


人見知りしている。


と、喋っていると上からドタドタと音がする。


「こ、この声は聖一さんとマホじゃっ!!!」


ジャイは急いで階段をドドドとかけ降りる。


「ぐ!いた!ぎゃぁー!」


階段を転げ落ちて玄関の先のリビングに到着したままの勢いで玄関に激突、急ぎすぎて転びすぎて腰の骨が突き出て足が変な方向に曲がっているジャイ。


「お、おかえりなさ、、い、ですじゃ。…ガク」


「回復の光」


「んぐおー!復活ですじゃ!おかえりなさいですじゃ!おかえりなさいですじゃ!心配しましたのじゃ!グスンえーんえーん!…え?誰?……知らない人たくさんいる?」


怒涛の登場から感情が濁流のように変化するジャイ。一気に上がったテンションはいきなり家に知らない人がたくさん居て急速に下がっていく。


「ひ、人見知りなんてしてないのじゃ!」


「この2人はやっぱり親子なんだな。フフフ」

「ほんとね。フフフ」


聖一とマホがジャイとムスメが変なところが似てるので、なんだか可笑しくなる。


「いや~キングドラゴン戦は一度死にかけたしな。ほんとに帰ってきたんだな。ジャイとムスメ!改めてただいま!」


「ほんとね。ただいまー!!」


聖一とマホに抱きつくジャイとムスメ。


「改めて紹介する。盗賊に追われていたシャマと捕まっていたアント、ハイエル、ハネビ、スミフだ。」


「な、なんと盗賊に。それは皆さん大変だったのですじゃ。」


「自己紹介させてくださいです!私は世界樹を守る民、ワンダーエルフ族のシャーマンのシャマでありますです!」


「あたいはジャイアントヒューマンのアントと申す者。聖一は命の恩人だ!」


「私は、ハイエルフのハイエルと申します。聖一様には一生分の恩がございます。」


「あたしは羽人族のハネビだよーん。聖一のことが大好きなんだよーん!!」


「僕はスミスドワーフ族のスミフ。聖一には感謝してるんだ。よろしく。」


「み、皆さんとても珍しい種族ですじゃ。特にシャマさん。ワンダーエルフ族とは珍しい。盗賊に目をつけられる訳じゃ。しかしワンダーエルフ族の皆さんは精霊武具の使い手、盗賊相手に遅れをとらないはずじゃ……」


「何人も撃退したのだけれど、疲弊しきったところをしつこく襲撃されたのです。」


「……そ、それはお疲れ様ですじゃ!!ま、まずは皆さん暖かいご飯を食べてよく寝てくださいですじゃ!!!!」


「美味しいご飯を作るんだから!!」


7人は同時に「はい」と叫ぶ。



ご飯の用意が終わり食べ始める一同。


ジャイが口を開く。


「聖一さん、そういえば伝えなければならないことがあるですじゃ。ここから北にある王都の伝令がワガマチに来てある報告をしてきたのですじゃ。」


「報告?」


「ビッグバンベヒーモスの目撃報告ですじゃ。」


「え?!」


一同は驚愕する。


「ビッグバンベヒーモスは約一ヶ月後。ここを通ってその二日後には王都に到着するそうですじゃ。」


「ひ、一月後?!」


「ここを通るの?!」


聖一とマホが声をあげる。


「ここまでの人里には伝令を飛ばして、いくつかの村落から民衆は王都に避難しているそうですじゃ。」


「え、つまりここにくるまでのルートには人はいないんだな。」


「はい。ビッグバンベヒーモスの通り道の人里はすべて棄てて、ここでビッグバンベヒーモスを防ぐ!!!!このワガマチが王都までの最終防衛ラインですじゃ!!」


「よし!じゃあ決めた。…うーんと……ここに到着するその3日前ぐらいの場所ってどこだろ?」


「それだと……決戦が原ですじゃ。」


「よし!そこで俺が食い止める。もしそこで俺に何かあったら、何かあったら……に、逃げてもかまわないし、このワガマチの最終防衛ラインに残ってもい………いてっ!


マホとシャマにグーパンチをされる聖一。


「マ、マホ。…シャ、シャマ。」


「舐めないで。私もやるわよ。」


「いずれ倒さねばならぬ世界の脅威。聖一さんと共に行かせてくださいです。」



マホとシャマの目は炎が宿ったようにキラキラ輝いている。



「すまん。よし!マホ、シャマ!27日後に決戦だ!!付き合ってくれるか?」


「もちろんよ!!」


「全身全霊でいくです!!」



「あたい達にも手伝わせてくれ。」

「必ずお役にたてます。」

「絶対に手伝うよーん!」

「僕も役に立ちたい!」



「決まりですじゃ。このワガマチ一番の商人のジャイも全身全霊で戦いますじゃ!ぐ!よ、腰痛が!グスン。」


「い、い、いや、ジャイは後方支援で頼む。」


意気込むジャイに引く聖一。


「は、はいですじゃ。全身全霊でこの大商人ジャイがお助けしますじゃ!!」


「ご飯は私に任せてなんだから!!!」


一同は決意をしてビッグバンベヒーモスに備えるのであった。




「まずは女子も男子も皆で風呂に入ろう!!ゴゴゴゴフッ!!!えへへへへ!!」


女子達に殴られても何故か幸せそうな聖一であった。

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