第14話 巨大生物の解体作業

14話 巨大生物の解体作業


聖一は一緒に戦うといったシャマ以外の4人も「手伝う」と言っていたので、本当に良いのか?と疑問が浮かぶ。


(後方支援で手伝うと言っても命の危険もある。一般市民のように王都に避難してもいいし、故郷に帰ってもいい。)


「皆、手伝うって言ってけど本当に大丈夫なのか?後方支援でも命の危険もあるから、ワガマチの最終防衛ラインに居てもいいし、王都に避難してもいいし、故郷に帰るならジャイは大商人だから安全なルートなんかも知ってるだろうし、俺には助けた責任があるから渡航費は持つぞ。どうする?」


アント、ハイエル、スミフ、ハネビの4人は聖一を殴る。


「グヘッ!」


4人は覚悟して手伝うと決めていたようだ。


「覚悟している。命の恩人を助けたい。力になりたい。」と4人が口をそろえる。


「そうか。では改めて皆よろしく頼む!!!戦闘最前線は俺!その少し後ろで戦闘に参加するのはマホとシャマ!そして後方支援はジャイ、ムスメ、アント、ハイエル、スミフ、ハネビだ!!」


「おう!」聖一の呼びかけに全員が応える。


(きっと長い戦いになる。補給物資の運搬や炊事等。さらに簡易の砦の構築も含めて皆の助けがあるのは本当に嬉しい。)


「よし!じゃあご飯食べて少し休んだらギルドに行こう。」




休憩の後、ギルドにやって来た聖一。


巨乳で上目使いの受付嬢は今日も元気だ。


「せ、聖一さんおかえりなさいですぅぅぅ!」


「久しぶり。生きて戻ったよ。たくさん出したいものがあるんだけどギルドの裏でも実は出しきれないんだよね。」


聖一の言葉に反応する受付嬢。


「え??う、裏でも無理?豪邸級までなら対応できる大きさなんですが??」


「…ご、豪邸級より大きいんだよね。」


「え?!豪邸級より?!!!ギルドのマスターにどうすればいいか聞いてきます!しょ、少々お待ちくださいませー!!」


しばらくして身体が筋肉質でドクロの刺繍が入った眼帯をつけた金髪オールバックがやってくる。


「君が聖一君かな?」


「はい。」


「冒険者ギルドのマスターのギルマだ。よろしく。」


「よろしく。」


マホが聖一に注意する。


「聖一。この人、変な人だから気を付けなさいよ。」


(眼帯でムキムキ!格好いいな!)


「ギルマさん!別に怪我してないんだから眼帯はずしてくださいぃぃ!!」


「ば、ばか!この眼帯の奥の瞳は、それはそれは恐ろしい地獄の世界と繋がってるんだぞ!外せばこの世は地獄の業火につつま…あ!ちょっと!」


「えい!」


受付嬢はギルドマスターの眼帯を外す。


するとギルドマスターのギルマのキャラが豹変する。


「え?嘘?まじー?はにゃー!うわー、まじで。やばー!え?恥ずかしいぃー!!え、ちょっと待ってちょっと待って恥ずかしいんだけどぉー!」


(なんだこれ。中二病みたいな感じだったのに眼帯とられたらギャルみたいになったぞ。ギルドマスターのギルマ。この人キャラ濃いな。)


「あ、ごめんなさい。豪邸級以上の大きさの魔物を狩ってきたのよね?マジでパネェわね。魔物の死体はブラックホールってスキルに収納してあるのかしら?やばみ。」


「え?ああ。実はそうなんだ。どこに出したらいいかな?」


(受付嬢から聞いたのかな。話が早くて助かる。)


鼻息をスゥーと吸込んで大声を出すギルマ。


「街の外で解体作業よ!!!!この街の中に豪邸級の上の魔物を収容できるスペースはないわ!さあ、ギルド職員総出で外へ行くわよ!」


街の中がダメだということで街の外の草原にやってきた。


「よーし!じゃ出すぞー。」


キングドラゴンを出す聖一。


「ちょっとあんた!!これ、キ、キ、キングドラゴンじゃないのよぉ!城級の中でもダントツの強さよ。まじ卍ぃー。」


筋肉リーゼントが身体をくねくねしている。


「もうひとつあるんだ。ほい。」


ブラックホールからジャンボミドリガメを出す。


「ぎょ、ぎょえー!!まじ地獄の業火でパラパラ踊ってNight On Fire!!黄泉の冷気で冷やさなきゃ!!マンジマンジマンジー!」


驚きすぎてギルマが訳わからないことを呟いている。


「ちょ!遭遇した時の死亡率はキングドラゴンの方が上ですが、討伐難易度で言えばキングドラゴンより上だと言われています!!でもでもキングドラゴンも討伐は現実的に不可能と言われていたんですぅぅ。もー!驚きが過ぎるですぅぅ。」


巨乳の受付嬢も驚きを隠せないようだ。


「聖一くん、明日の昼過ぎ。つまり丸一日もらっていいかしら?」


ギルマが聖一に確認する。


「もちろん大丈夫!っていうか、こんな大作業むしろ一日でいけるの?すげー助かる。めっちゃありがとうございます。」


一日で終わるという事でおどろく聖一。


「あ、マホちゃんってバイブレーション使える?」


「ええ。使えるわよ。」


「じゃあジャンボミドリガメの方を手伝ってくれるかしら?」


「ええ!わかったわ!」


どうやらマホは解体を手伝うようだ。


キングドラゴン、ジャンボミドリガメどちらも10名がかりで作業するようだ。


(解体したものを保管する場所が無さそうだ。俺もブラックホールで手伝おう。)


ギルドマスターのギルマは綺麗な両刃の大剣を持っている。


(美しい大剣だな。相当な業物だろうか。)


ギルマは白いハチマキを巻いて掛け声を発する。


「オラァ!!作業開始だー!!!野郎共!!!!!」


(え?あの人またキャラ変わったよ。)


まずキングドラゴンの固い鱗は大きなつるはしとシーソーが一緒になったようなもので、1枚1枚テコの原理を使ってはがしていくようだ。


ベロンベロンと外して、地面に落ちた鱗を聖一がせっせとブラックホールに回収していく。


そして鱗が剥がれてむき出しの所はギルマが大剣を手にズバーと切り裂いて大きなブロック肉にしていく。


そのブロック肉を聖一がブラックホールに保管していく。


そしてロープのようなものをキングドラゴンの牙に巻き付けて、滑車のようなものをかませてグッと4人がかりで引っ張るとスポン!と牙が抜けた。


そしてその牙を聖一がブラックホールに収納していく。



(このペースで行けば意外とすぐ終わるぞ。)




一方、ジャンボミドリガメの方では、甲羅にこびりついた苔や藻や芝生を掃除している。


掃除が終わって甲羅が綺麗になると模様が浮き出てくる。


一般的な亀の甲羅のような六角形のマス目のようになっている。


「じゃあいくわよ!バイブレーション!!」


その隙間に楔を打ち込み、バイブレーションで揺らしてハンマーを打ち付けると徐々に楔は隙間に入っていく。


ある程度楔を入れた後、またシーソーにつるはしが付いてる機具で甲羅の六角形の部分を1枚1枚ひっぺがしていく。


どんどん作業は進んでいく。日が落ちた所で無事作業が終わった。


「おい野郎共!!今日はここまでだ!!」


ほぼ終わって細かい作業を残したところで作業が終わった。


「皆!お疲れ様!!ドラゴン肉のステーキはめちゃめちゃ美味しいんだ!良かったら食べてってー!!」


ねぎらいも込めて聖一はドラゴン肉のステーキを全員に振る舞う。


皆、うまいうまいと食べて大満足。そのまま家路に着いた。



そして、その夜全員ムラムラしてなかなか寝つけなかったのは余談である。


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