グループ:告白する権利について

 勝太はLINEグループの着信音がなって、テレビを付けながらスマホを取った。


 弘人『なあ、白黒つける考えが浮かんだ』

 弘人『このグループの名前変えない?』

 弘人『早く返信ちょうだい』


 結構前に来た着信だ。

 弘人はソワソワしているだろう。

 ――早く返信してやらなきゃなぁ。


 勝太『もう、夜だけどどうしたんだよ』

 弘人『アイデアがあるんだ』

 勝太『何のアイデアなんだよ』

 弘人『まあ、健吾が入ってきたら話そうよ』

 勝太『(''ω'')ノハーイ』


 で、少し待つと健吾が入ってきた。


 健吾『何なんだよ。なんか着信音なったから練習やめてみてみたけど。弘人は何がしたいんだよ』

 健吾『さっきからピコンピコンなってるからうるせぇんだよ。集中できない』


 すると、弘人がメッセージを連発し始めた。




 弘人『ええっとね、みんな同じ人が好きなわけじゃん』

 弘人『それで、俺が俺がって争ってるじゃん』

 弘人『それで、誰が告白する権利を持つかの争いの白黒つけるやり方を思いついた』

 健吾『なんだよ、それ』

 弘人『明日午前十時からこのLINEグループを改名いたします』

 勝太『え? それが解決策? なんか、どういうこと』

 健吾『別に、名前は何でもいいが……なんなんだ』

 弘人『まあまあ。取り合えずルールを説明するよ』


 弘人は、少し間を開けてキーボードを叩いた。


 弘人『ルールは簡単。新しく改名したLINEグループはゲームの舞台になる』

 勝太『ゲーム?! やった、得意分野キター!』

 弘人『そのゲームって言うのは……早織に告白する権利を得るための色んなゲームだ。例えば、早織の好きなところをたくさん言えた人が勝ちのゲームとか、ロマンチックな告白を考えた人が勝ちとか』

 健吾『は? どういうことだよ。やり方がバカみたいだな、お前』

 勝太『でも、それ結構面白いと思うんだけど』

 健吾『そうか? そんなのタイマンでやった方が早いだろう』

 弘人『そんなの健吾の勝ちじゃん』

 弘人『公平に決めるために、ゲームを考えるわけ』

 健吾『けど、お前だけが決めるのなら不公平だろう』

 弘人『そのために、連絡を取っておいたんだよ』


 妹のことには目がないあの人に、弘人はメールをしていたのだった。

 あ、えっと、近くに住んでいるから母さんのスマホに登録されているのだけども、それをこっそり見て登録し、連絡したのだ。


 勝太『誰にー?』

 弘人『鈴川伊織先輩』

 勝太『鈴川伊織って誰?』

 健吾『まって、そいつ生徒会の……』

 弘人『そう。生徒副会長のあの鈴川伊織先輩。バレー部のエースで、テストの成績もいい人。まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、肝心なのは……』

 弘人『苗字を見たらわかると思うけど、早織ちゃんのお姉さんだ』

 健吾『は』

 勝太『なるほどね……』

 勝太『つまり、伊織先輩にどうやったのか知らないけど連絡を取って、このゲームに協力してくれないかって言ったってこと? で、OK出たと』

 弘人『そゆこと(^_-)-☆』

 健吾『そういや、あの人妹を溺愛している生徒副会長って有名だな……。そりゃあ、妹の彼氏候補の話をすれば舞い上がるわけか』

 弘人『きゃあきゃあきゃあきゃあ連絡来てさ。それで、妹の将来のためにも協力してあげるってさ』

 勝太『すげぇ』

 弘人『じゃあ、これから伊織先輩のメッセージ僕が転送するからね』

 勝太『りょーかい(''◇'')ゞ』




 健吾は取り合えずビックリしていた。

 最初は知らんふりしていたが、伊織先輩という言葉が出てきた瞬間、体の内側からシュワーッと来た。


 鈴川伊織は早織の姉さんで、三年。生徒副会長で、大きな権力を立てに学校改革を行っている大物だ。小さな政治家と言っても良い。

 だが、健吾を沸かせたのはそういうことではない。

 ――すげぇかわいくて、キレイなんだよ。

 一度モデルにスカウトされたほどの美貌を持っている先輩で、仕草とかめっちゃ可愛い。

 まあ、生徒会で色々やってるときは悪魔的な笑顔を浮かべることもあるけど。


 そんな伊織が僕らの告白する権利の競争に参加してくるなんて。

 ゲームとかも伊織が決めるということだろうか。



 弘人『メール来た』

 弘人『今から転送するね』

 弘人『みなさん、こんばんは。みなさんは私の妹に告白する権利について争っているそうですね。うんうん、妹の人気がすごいようで姉として誇らしく思います。そして、弘人君によると、LINEグループを改名して、そこでゲームをして告白できる人を決める、ということですね。いやぁ、まずは改名バージョンを考えてみました。弘人君に送ってますので、また今度みんなで見てみてください』

 弘人『で、ここから肝心。改名した後のグループ名』

 勝太『早く見せろよ』

 弘人『大丈夫、ちょっとヤバいよ』


 弘人は別に勝太に言っているのではなく、イライラしながら続報を待っているであろう健吾がキレないかについて危惧しているのだ。

 なんせ、健吾みたいなやつがキレそうな名前になっているからだ。

 恋愛に少し前まで興味がなかった健吾だし、今でも積極的ではなく、むしろそういう物語みたいな感じのものは嫌っているやつが、キレるのは間違いないだろう。

 ――それでも、言うしかないよな。


 弘人『分かった、見せるよ?』

 健吾『いや、早く見せろよ!! (╬▔皿▔)╯』

 弘人『了解。絶対起こったらだめだぞ』

 弘人『ごめん、誤字』

 健吾『そんなの良いから教えろ!』

 弘人『じゃあ、行きます』

 弘人『改名した後の名前、つまり新しいグループLINE名を私が決めさせてもらいました。恐れ多いです。その新しいグループLINE名は『』です!!』

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