スタート:誰が早織を自分のものにできるか競うグループ

 弘人『って伊織先輩から送られてきた』

 健吾『って、ちょっとヤバくないか、この名前』

 勝太『賛成』

 弘人『じゃあ、伊織先輩に直接抗議してきて』

 勝太『いや、それはちょっとなぁ』

 健吾『気が引ける』

 弘人『じゃあ、これで決定でいいよね?』

 勝太『はい』

 健吾『あいよ』




 次の日の十時。


 誰が早織を自分のものにできるか競うグループ

 参加者 健吾・勝太・弘人・いおりん♪


 弘人『おはよー。早速変更されたよ』

 勝太『ホントだな』

 健吾『なんかすげぇ雰囲気』

 弘人『ハハハ』

 勝太『ってうん?!』

 勝太『いおりん♪ってのが入ってるんだけど?!』

 健吾『うわ、ガチで。マジだ』

 勝太『これってまさか、伊織先輩?』

 弘人『そうだけども』

 健吾『ウソ嘘マジで、まさか伊織先輩と同じグループ』

 勝太『うわ、めっちゃドキドキするんだけど』

 弘人『ちょっと、その二人伊織先輩に鞍替えする?』

 勝太『いや、良いです』

 健吾『そんなこと言ったって、俺らの本命は早織だからな!』

 弘人『ダヨネ』

 弘人『えっと、今伊織先輩は塾行ってるらしいから、ゲームが始まるのは今日一時から。みんな行ける?』

 健吾『俺は大丈夫』

 勝太『俺も』

 弘人『じゃあ、一時までまたね』

 健吾『おう』




 一時三分。


 伊織『というわけで……みなさん、初めまして。鈴川伊織です』

 勝太『あ、えっと、コチラこそ。勝太です』

 伊織『勝太君、聞いてますよ。ものすごい人気者だそうですね』

 勝太『ありがとうございます』

 伊織『で、健吾君がサッカーめっちゃ上手な子ね』

 健吾『その通りです。伊織先輩にそう言われて光栄です』

 伊織『はい♡』

 勝太『ところで、弘人おそくないか』

 健吾『そうだな』

 伊織『じゃあ、その間にルール説明をしますね。一々メッセージ送るのはめんどいので、画像を送りますね』


 その画像を開くとこのようなことが書いてあった。



 誰が早織を自分のものにできるか競うグループ・十条の規則

 一、このゲームは本気で早織を彼女にしたい人しか参加してはいけません

 二、このゲームではズル禁止です

 三、このゲームは参加者意外に情報を漏らしてはいけません

 四、反則行為を犯した場合、ペナルティーとして告白争奪戦から追放となります

 五、ゲームは全て鈴川伊織が決めます

 六、この三人には正々堂々と戦ってもらいます

 七、ゲームの判定をするのは鈴川伊織です

 八、ゲームの順位などの条件でポイントが付きます

 九、いくつかあるゲームで一番たくさんのポイントを持っている人が優勝です

 十、このゲームの優勝者チャンピオンは早織に告白することができます



 勝太『了解です』

 健吾『分かりました』

 勝太『一つ質問があります。優勝者は“告白を棄権する”ことはできるのですか?』

 伊織『できます』

 勝太『分かりました。ありがとうございます』

 弘人『お待たせ~♪』

 健吾『あ、やっときた。おっせ~な』

 弘人『sorry』

 勝太『はい』

 伊織『お待ちしていました。弘人君はルール分かってますよね?』

 弘人『Yes』

 健吾『弘人、英語使うのうぜぇ』

 弘人『sorry』

 健吾『だからやめろ』

 勝太『まあいーじゃんいーじゃん」

 伊織『それでは、十分後、ゲームを始めます。それまで準備をしておいてください』

 弘人『はい』

 勝太『準備ってなんですか?』

 伊織『心の準備』

 健吾『OKです』




 三人はそれぞれの部屋で心の準備をしていた。

 健吾と勝太はあの鈴川伊織と同じグループで会話していること自体にまだ慣れていない。もちろん、本命は妹の早織だが。

 ――一体、何をさせられるんだ。怖いんだけど。

 ――何があっても俺がチャンピオンになって早織を俺のものにする!

 ――勝てば、早織ちゃんは僕のもの。これはガチモードで行きますか。

 それぞれの思惑が複雑に交わる。

 最も、三人ともとんでもなく過酷なゲームをさせられるとはここでは夢にも思っていない。


「これは面白いことになったわね」

 伊織はクスクスと画面を眺めていた。

 この三人が私の愛する妹を手に入れようとするなんて。無謀なものだ。赤っ恥を書く姿が思い浮かぶ。

 三人もの男子を遊べるなんて、ね。




 勝太『何とか心の準備できました』

 伊織『それじゃあ、面白くするために決意表明をしてもらうわね。まずは、健吾君からどぞ!』

 健吾『恋に興味なかった人間が恋した。良く分かんないけどパパっとやってパパっと彼女にしよーと思ってまーす』

 伊織『じゃあ、勝太君』

 勝太『僕はこれまで人に好かれることはあったけど、好きになることはなかった。つまり、初恋です。僕が持っているすべてを使って早織ちゃんを包みたいです。そのために、この勝負、絶対勝って早織ちゃんに告ります! よろしくお願いします!』

 伊織『じゃあ、最後に弘人君、どうぞ!』

 弘人『不器用な僕だけど、とりあえず全身全霊賭けてぶつかってこうと思ってます! 頑張ります!』

 伊織『OK。じゃあ、初めて行きます。まずは、最初のゲームの点数発表ね』

 健吾『はい? 最初のゲームってなんもやってねーじゃないっすか』

 勝太『え、もしかして、そゆこと?』

 伊織『は~い、集計できました!! それでは、点数を発表!!』

 伊織『勝太:五点』

 伊織『弘人:三点』

 伊織『健吾:二点』

 伊織『というわけで、最初は勝太君が熱量バッチリの最高の決意表明で一位! じゃあ、ゲームスタートです!!』

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