ラブ3:地味系男子の恋

 けんちゃんかっちゃんこうちゃん(みんな高一)

 参加者 健吾・勝太・弘人




 健吾『なあなあ、お前好きな人いる?」

 弘人『いるけど』

 勝太『いんの? マジ?!』

 弘人『いるんだなぁφ(* ̄0 ̄)』

 健吾『誰?』

 弘人『鈴川早織ちゃん。仲いいし、カワイイじゃん』

 勝太『マジ?! ヤバっ……』

 弘人『どういうことだよ? あ、お前まさか?!』

 勝太『そうなんだよ。俺も早織のことが……』

 健吾『はぁ?! ふざけんなよ! 俺だって早織が好きで彼女にしようと思ってんのにか?』

 勝太『マジかよぉ』

 弘人『嘘だろ(っ °Д °;)っ』

 健吾『お前ら、友達だと思ってたら裏切りやがって』

 勝太『いや、裏切ったわけじゃないけど』

 弘人『恋愛ってそんなもんじゃないの』

 健吾『そんなもんってどんなもんだよ! 神様は残酷すぎるだろ……』

 勝太『とりあえず、どうしよう>︿<』

 弘人『トリマ、一晩各自で考えるのはどうだろう……?』

 勝太『ああ、ああ、ああ。そうするか……』




 大平弘人おおひらひろとは、アワアワしていた。

 ――ウソ、あのモテそうなサッカー男子と人気者と好きな人が被るとか。

 健吾はサッカーが得意で顔もよく、肌も焼けていて黒い。そのため、健吾が好きな人はこのクラスの中にも何人かいたそうだ。

 勝太はスポーツ万能で勉強はまあまあだが、面倒見がよく人を笑わせることが得意で人気を博しているやつだ。小中学時代では告白してくるやつが絶えなかったらしい。

 そこで、自分には何かあるだろうか。特別勉強が得意なわけでもなく、だから特別スポーツが得意なわけでもない。なら、めっちゃ性格が良くって人気があるかと言えば、そうでもない。

 いわゆる、“スーパー地味系男子”ということだ。


 そんな弘人だが、恋心だけは止まらないのだ。

 そう、恋心だけは。

 どーせフラれることも分かってるのに、地味系男子がめっちゃ目立つ人気者女子を好きになる。

 なのに、自分は告白ができない。

 まあ、したところでフラれる現実は分かっているのだが、それでもわずかな可能性はある。それに賭けることができないのだ、この男は。

 で、そのまま自分の恋は終わっていき、新しい恋が知らぬ間に始まっていく。




 勝太『ところで、いつからお前は恋愛に興味なんか持ち始めたんだ?」


 おっと、なんか来た。

 勝太は良いなぁと思った。

 なにか、余裕がある感じがしたからだ。

 ――そりゃあ、告白されまくる人気者だもんなぁ。

 で、お前ってのは誰だろう。

 う~ん、まあ恋愛に興味無さそうと言えば健吾だろうか。


 弘人『確かに。サッカーしか興味ないんじゃなかったっけ』

 健吾『いや』

 勝太『ほれほれ。恥ずかしがらずに明かせよ。いつの間に変身したんだ? まあ、俺らはアオハル世代だから無理もないけどさ』

 弘人『健吾、いいじゃん。教えてよ』

 健吾『無理なもんは無理だ』

 弘人『そこをなんとか!』

 健吾『無理なもんは無理だ。そんなもん教えたって何の価値もない』


 ヤバい、健吾キレたかもしれん。

 ていうか、まず健吾は元々キレていたのかもしれない。恋愛が良く分からないやつだったから。


 健吾『まあ、人間の本能で恋し始めたんだろう』


 と、返信来た。

 ――人間の本能ね。

 弘人は考える。

 よく考えると、そんな恋愛の本能は人間だけじゃないのではないかと思う。

 サルもシカもペンギンもムシも。色んな生き物が理想のパートナーを探し求めるということでは人間もその一種。

 ――恋愛の本能って、不思議なもんよ。

 つくづくそう思う。

 しかも、やり方は人それぞれだし。

 ――なら、自分のやり方でやるしかないのか?


 自分のやり方ってなんだろう。

 弘人はふとそう考えた。

 逃げること、告らないこと、彼女を見続けること、それでも行動を起こさないこと、友達に配慮すること。

 それが自分の恋愛本能なのか。

 自分はこれを打破したい。こんなんじゃあいつまでたっても結婚できないし、子供も産むことができない。

「よし、やってやるか」

 弘人はあることを考えた。

 ――人間観察だけは、僕、得意だからさ。




 弘人『なあ、白黒つける考えが浮かんだ』

 弘人『このグループの名前変えない?』

 弘人『早く返信ちょうだい』


 だが、返信はなかなか来ない。健吾は、サッカーの練習をしているのだろうか。勝太は……バラエティ番組に夢中なのだろうか。


 そう考えると、自分はいつの間にかスマホ中毒のようになっている。

 SNSのやり取りが楽しくて、それが趣味……というよりはヒマつぶしのようでずっとスマホばかり眺めている。親から注意されるが、口うるさいなぁと思ってスルーしていた。

「じゃあ、一回スマホを置くか」

 その時に、母親が部屋に入ってきた。

「あら、スマホ持ってないのね。偉いじゃない」

「ちょっとゴロゴロしたくなって。本読もうかな」

「そう・・・・・まあ、いいじゃないの」

 驚きを隠せない表情で母は出て行った。


 ピコン♪

 小説を読み進めていると、スマホの音が鳴った。

 ――来た。

 多分、LINEの返信が来たのだろう。

 そう思って、弘人はスマホカバーを開ける。

 そして、LINEを開けて、グループラインのページに入る。


 勝太『もう、夜だけどどうしたんだよ』

 弘人『アイデアがあるんだ』

 勝太『何のアイデアなんだよ』

 弘人『まあ、健吾が入ってきたら話そうよ』

 勝太『(''ω'')ノハーイ』

 健吾『何なんだよ。なんか着信音なったから練習やめてみてみたけど。弘人は何がしたいんだよ』


 ここで健吾が入ってきて、三人がそろった。

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