第八話 激戦
メグジスを出た俺は、魔物が出現する森の中で戦闘訓練をしていた。
だが、相手は魔物ではない。
「これでどうだ!」
俺は一瞬でノアの四方八方にミスリル糸を張り巡らせると、一斉にノアに向かわせた。
「えいっ」
ノアは華麗な身のこなしで、ミスリル糸を回避した。
「甘い!」
俺は即座にミスリル糸から〈創造〉で鉄の短剣を無数に作ると、〈操作〉でノアに向けて飛ばした。
「やあっ」
だが、ノアはそれらを両手にはめたシザーズで破壊した。流石にあの一瞬で全部を破壊するのはちょっと……ではなく結構凄い。だが、今までの戦いのお陰で、それは予想出来ていた。
「そうなるのは知ってたよ!」
俺はノアが短剣の対処をしている僅かな時間に、ミスリル糸を再びノアの周りに張り巡らせた。
「どうだっ」
そして、再び襲わせる。さっきよりも速い速度でだ。
「やばいっ」
ノアは急いで回避しようとしたが、回避しきることが出来ず、右足と左手に切り傷を負った。
そして、それと同時に短剣を作って、ノアに襲わせた。
「ひいっ 容赦がないよぉ!」
ノアは悲鳴を上げながら、何だかんだで対処している。やっぱりすごいな。
「ならこれで!」
俺はミスリル糸から〈創造〉で粉末化した薬石を作ると、目くらましにした。
「はあっ!」
そして、ノアがいるであろう場所にミスリル糸と大量の探検を放った。
「どうだっ……」
徐々にノアの姿が見えてくる……
「むぅ 負けた」
ノアはミスリル糸によって拘束されていた。
「あ~初めてノアに勝った……今日は記念日だ……」
俺は仰向けで地面に倒れ込むと、そう言った。
俺は、ノアとハンデありの勝負をした。ノアは三つのハンデを背負っている。
一つ目・俺に攻撃してはいけない。
二つ目・ミスリル糸を切ってはいけない。
三つ目・ドラゴンの姿になってはいけない。
勝負の決め方は、五分間俺の猛攻に耐えきれたらノアの勝ち。ノアが戦闘不能になったら俺の勝ちだ。
何十回と敗北したが、何とか勝つことが出来た。これは快挙だ。
「本当に激戦だったな。俺があの中に入ったら、数秒でバラバラにされるよ」
離れた場所から俺たちの戦いの審判をしていたケインは駆け寄ってくると、そう言った。
「それにしても、戦えば戦う程、ノアがいかに理不尽な存在だってことが理解させられるよ」
回避する方法が攻撃している自分でも絶対にないと言い切れるレベルの攻撃を、ノアはしっかり回避していたのだ。その回避する瞬間をこの目で見て、俺は改めてノアの強さを実感することが出来た。
「ふぅ。頑張った」
ドラゴンが持つ高い再生力で自身を治癒させながら、ノアは俺の元に歩み寄ってきた。
「ありがとな。ノア」
俺はノアの頭を撫でながら、感謝をした」
「カインの頼みだからいいよ。それよりも、女の子を傷物にしたんだから、責任は取ってね」
ノアは満面の笑みで、ちょっと聞き捨てならないことを言った。
「責任……」
「そ、お母さんが言ってた。女を傷物にしたら、傷物にした男がその女を幸せにする義務があるって。それが人間たちの間での決まり何だよね?」
「お前の母親、娘に何を教えてんだよ……決まりではないぞ……」
俺は頭を抱えながら、軽くため息をついた。
「ま、そういうの関係なしに、俺はノアを幸せにしたいと思ってるけどな。って、いろんなことに巻き込んでいる俺が言えたことじゃないけど」
「ふふっ 嬉しい」
ノアはかわいらしい笑みを浮かべた。
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