15:異世界からやってきた理由~中編~

 え・・・ちょっと待って。意図的に誰かがここに魔物を送ってるって・・・それってかなり不味いよね?うん、それならわざわざレイさんやレオ君のいる異世界の人がきた理由も納得できるかも!だけど・・・


 「でも・・・なぜそんなことをしているんでしょう?」


 異世界を渡るというのか次元を越えてというのか、わざわざ別の世界に送り込むなんてこと、簡単なことじゃないことくらいは、私でもそれぐらいは想像できるもの。


 「先ほども言ったけど、実は、私達も詳しくはわかっていないんだ。だが、誰かが、『魔気』を集めるために、わざと魔物をこちらに送っていることはわかっている。」


「マキ、ってなんですか?」


 なんだろう?よくわからないワードがでてきた。


 「ざっくり言うとね、魔物に連なるものが使う力の源ってやつなんだよ。実はここの世界はその『魔気』が豊富にあってね。その『魔気』をため込むには、ここは絶好のパワースポットってやつなんだよね。」


ヤレヤレといった感じで、レオ君はおどけた様子で説明してくれた。


 「ええ?!ここってもしやエサの宝庫?!」


 あ、だからさっきの魔物は食べ物美味いっていってたのは、その事なのね。


 「・・・でも私はあまり関係ないと思うので、詳しく聞いたら不味くないですか?」


 正直いうと好奇心はあるけどね。だって異世界の話だし。でもただの好奇心で聞いていい話じゃないと思うし・・・


 「うーん、そうだね。本来なら悪いけど、魔物を見たことの記憶を消して、なかったことにしようかと思ってたんだよ、本当のところは。」


 と、ものすごく物騒な事をレイさんは笑顔で言ってきた記憶を消す?そんなことできるの?私の顔はかなり引きつっていたと思う。


 「記憶を消すって、さっき見た魔法みたいなものですか?で、でも・・・しなかったんですよね‥?」


 私は恐る恐る聞いてみた。


 「・・・うーん、正確に言うとできなかった、かな。私の魔眼(まがん)が利かなかったからね。だから説明にする気に余計になったんだけど。」


 マガン?またわからないワードが出てきた。


 「実は如月さんのこと、数日前に見かけたんだけどね。気配がココの住人と異なっていたんだ。その違和感がぬぐえなくてね、それで私達は如月さんに目を付けてたんだ。そしたら本来は夜にしか活動しないハズの魔物が、夕方の時間帯に君の前に現れたんだよ。この意味がわかる?」


 「え?それって・・・・」


 まさかと思いたいけど、もしかして私が原因って事?


 「そう、俺達の読みは間違っていなかった。案の定すぐに魔物が現れたからね。はっきりいうと、君には何かがある!」


 そういうと、レオ君に思い切り指を指された・・・。いや人に指差しちゃいけないんだけど・・・ってこんなこと思ってる場合じゃない!


 「だから、ある程度事情を話す気になったんだ。何も知らないで、また魔物に襲われるのはいやだろう?」


 と、また物騒な事をレイさんは笑顔で言った。


 た、確かに訳がわからない状態で、襲われるなんて真っ平ごめんだわ!私は大きく何度も頷いた。


 「なら、説明するね。さっきも言ったけど、君に私の魔眼(まがん)は利かないし、如月さんは、割と冷静に物事を分析してるからごまかせそうにないしね。」


  褒められてる?でも・・・


 「え・・・と、そのマガンというのは何のことでしょう?」


 「あぁすまない。説明しないとわからないよね。実は私達は人間ではなくてね。私はその中でも希少種族になるんだけど。魔眼族という種族になるんだ。そうだね、見た方が早いと思うから・・・」


 え?さらっと言ったけど、人間じゃない?ってどういうこと?あ、もしかしてファンタジーのところのエルフとかかしら?なんて頭の中で一瞬グルグル考えていたんだけど、目の前のレイさんは片手で自分の前髪を掻き上げた。


 「私にはね、もう一つ目があるんだよ。ここにね。」


すると顕わになった額にはうっすらと・・・縦に線が出てきたかと思ったら、瞑っている目が現れた。


 「え?え?えぇぇええええ?!!」

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