14:異世界からやってきた理由~前編~

 「まずは正式に自己紹介をしようか。私のここでの名前は橘令(たちばなれい)、本当の名前はレイラ・アルストという、レイと呼んでくれ。以後よろしくたのむ。」


 「俺は、橘玲央(たちばなれお)、ってここでは名乗ってるけど、レオンハルト・バートダムが本名なんだ。ってことでよろしくね!気軽にレオって呼んでくれたらいいから。」


 うっなんかレオくんってば思っていたよりキャラが軽いような?それに二人とも横文字のお名前だったんだ!うん、なんか確かにそっちの方がしっくりくるかも。

 ・・・でも、名字に当る部分っていうのかな。名前に共通点がなかったよね?姉弟なら同じになると思うのだけど異世界だと違うのかな?


 「あーちなみに私達は双子という設定であって、赤の他人だから。」


 令さんは私の腑に落ちない顔をしていたのを見逃さなかったようで、その疑問に答えてくれた。


 「え、というと?」


 「俺達はいわゆる仕事場が同じの同僚ってやつでね。他人ってことで別々に学校に潜入してもよかったけど、俺達は密に話すことも多いからさ。他人同士の転入生がいきなりそんな状態だとおかしいだろってことで、姉弟の双子って事にしたんだよ。身内なら密に話しててもおかしくないしね。」


 なるほど、二卵性なら全く似ていなくてもおかしい事ではないものね。


 「言われてみれば納得ですね。」


 ・・・それにしても、異世界の人は美形が多いのかな?他人同士なのに、二人とも群を抜いてキレイだし。と、今は関係ないことを考えてしまった。


 「でしょ?まぁ俺が弟ってのは納得いかなかったけど・・・」


 「何を言っている。年齢も私が上なんだから、当然だろう。」


 「まぁ、そりゃそーなんだけどさぁ・・・」


 レオ君はどうも自分がお兄ちゃんになりたかったようだ。


 「それで・・・どうしてこちらの世界に?あとどうして高校生に?」


 同僚ってことはお仕事してる社会人だよね?それをわざわざ高校生やってるってことは意味があると思うんだよね。


「うん、さっき見た魔物なんだけど、簡単にいうと、元々俺達の世界にいた魔物がこちらの世界に流出してしまったんだ。だからそれを回収することが目的。だが帰還を拒否したものにはその場で消失(ロスト)してもらう。わかると思うけど、魔物がこちらの世界に居続けたらパニックになるからね。ここの世界に混乱は招くわ、迷惑はかけられないし。そういう訳で、俺達こっちに来たんだよ。」


 んー?んんん??一応はわかるんだけど・・・でもそれって、そこまですることかな?


 自然の流れ、というか異世界の人がわざとやった訳じゃなさそうだし、それをたまたまこうなってしまったことに、異世界の人がそこまで責任を感じることかな?

私はちょっと納得できなかったので、少し意地悪く聞いてみた。


 「・・・そんなわざわざご親切に?」


 あ、疑問形になっちゃった。


 「・・・・レオ、はぐらかすのはやめよう。」


 「え?でも・・・」


 レオさんは戸惑っている感じだ。


 「彼女・・・如月さんはおかしいと気付いている。なら現時点の把握していることをちゃんと伝えた方がいい。」


 あ、やっぱり私の違和感は間違いじゃなかったみたい。


 「・・・如月さん、ごめんね。正直巻き込みたくなかったら、不安にさせたくなかったから、詳しく話さないでおこうと表向きのことしか言わなかったんだけど・・・」


 そういうと、レイさんは真っ直ぐ私の目をみた。


 「確かに、我々のいる世界から魔物が流出したから、私達は狩るために来ている。だが、それは意図的に行われているとわかったからだ。」


 意図的?それって・・・まさか?!


 「・・・誰かがわざと魔物をこちらに送っているってことですか?」


 「察しがよくて助かるよ。」


 レイさんは正解といわんばかりに微笑んでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る