13:魔物との対決~後編~
魔物だけでも驚いているところへ、精霊召喚?とかいう呪文で、玲央くんが掌から何かを出した。
それは、火をまとったトカゲのようなものだった。とはいえ、普通のトカゲとは大きさはかけ離れていて、例えるなら中型犬くらいかな?思わず私はそれを凝視していた。そんな様子に令さんが気が付いたようで…
「・・・「本当に魔法があるんだ」みたいな顔してるね。」
私はとっさに、こくこくと頷いた。
令さん、その通りです! だって精霊とかアニメとか小説の世界だと思ってたし!って誰でもそう思うでしょ?
「な、なんだか、現実味がなくて・・・」
「そうだろうね。私達は私達で知識としては、把握しているつもりだったけれど、この世界の『科学』とやらには随分と驚かされたけどね。」
令さんはそういって微笑んでいた。
あ、そっか言われてみればそうだよね。令さんの世界の魔法と私の世界の科学・・・お互いにカルチャーショックってことだよね。
「・・・だけど、ここに来るしか方法がなかった。相手の意図も掴めてないし・・・」
令さんはどこか遠いところに視線をやり、なんだか意味深な言葉をつぶやいていた。
って、また脱線!玲央くんの戦いぶりを見ておかなきゃ!
「サラマンダーよ!業火の炎で、敵を焼き尽くせ!」
玲央くんが命令すると、中型犬くらいだった、サラマンダーが更に大きくなった。それこそ、魔物を覆いかぶせるくらいに。ソレは玲央くんの言葉と共に一瞬で化け物を包み込んだ。
「イヤダァ!シニ・・・タク・・・ナイ・・・」
そして・・・あっけなく、化け物はその大きくなった炎に飲み込まれて、焼き尽くされてしまった。う・・・申し訳ないけど炎でどうなっているかはよく見えなくてよかったかも・・・そしてその時、魔物の断末魔が聞こえたような気がした。
「帰すつもりはあったのにな・・・」
玲央くんは魔物に向けて、残念そうにつぶやいていた。
「さ、お待たせ」
玲央くんは、さっきとは打って変って、明るい声でこちらに向かってきた。
「まだこのフィールドは持つからね。少し話をしようか」
玲央くんが微笑んでる。けど何だかちょっとその笑顔が怖い。
「レオ、その前にこの子を治してやってくれ」
そういうと令さんは、弱ったジョンを撫でてくれた。
「あ〜さっき健気に飼い主を守ろうとした子だね。いいよ。」
玲央くんもしゃがんでジョンを撫でてくれた。そして手をジョンの頭にかざして
「光の精霊ルミエルよ、この子に癒しの加護を。」
またもや玲央くんの掌から小さな光の玉のようなモノが現れたと思ったら、それはフワフワと飛んでジョンの頭に付いた。それは白い光を放ってジョンを包み込み、それまで元気をなくしてたのが嘘のように、立ち上がって力強く「ワン!」と吠え、尻尾をブンブンに振って私の傍に来た。
「ジョン、ジョン!良かったねぇ!」
私はジョンをぎゅーと抱きしめ、安心したのか、なんだか涙が出てきた。本当に元気になって良かった!!
「ジョンを助けてくれて、本当にありがとうございます!」
「いや、こちらの事情に巻き込んだようなものだからね、むしろこちらこそ、ごめんね。」
玲央くんは、令さんと顔を見合わせながらバツが悪そうな申し訳なさそうな顔で私に言った。あぁ、そうかこっちの世界に来たって行ってたものね。
「でも、どうしてこんなことになったんですか?魔物がこっちの世界にって・・・」
至極当たり前の疑問。令さんの世界に住む魔物がここにいるということ。だから令さんたちはやって来たって言ってたしね。
令さんと玲央くんは顔を見合わせ、言あぐねているようだった。あーそっか。よく考えたら、きっと極秘事項とかだったら質問には答えにくいのかも。うん、やっぱり無理に聞いちゃいけないよね。私はやっぱりいいですって答えようとしたその時、令さんは切り出した。
「・・・そうだね、正直に言うと、私達も詳しくわかっていないことはあるんだけど・・・君を巻き込んでしまったからね。少し事情は説明しようかと思う。」
令さんはそう言うと真剣な顔をしていた。
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