12:魔物との対決~前編~
あ、話し込んじゃってたけど、玲央くん、大丈夫なのかな?
令さんは大丈夫って言ってたけど‥‥私は玲央くんと化物が対峙している方へ視線を向けた。
「あ~あ。ほんとーにでっかくなっちまったねー」
化け物に対峙している玲央くんは呆れたように、化け物に言っていた。え?大きくなってるの?玲央くんの言葉に驚いて、思わず令さんを見たら、
「あぁ。もとはこれくらいだったかな?」
令さんは足の膝くらいまで掌で示してくれた。
!何それ?確かにめっちゃ大きくなってるじゃない?!そして私は気が付いた。
「あの、もしかして大きくなった要因って…」
私は不安げな顔でジョンを見た。当たってほしくないけど、そんな思いは空しく。
「…お察しの通りだ。魔物は、ここの世界の生物を食べて、異常に大きくなったようだ。あそこまで大きくなるということはきっと…」
令さんは途中で言い淀んで、化け物の方を見ていた。そっか化け物じゃなくって魔物って言うんだ。玲央くんが魔物に向かって話していた。
「さぁー!おいたはここまでだ。大人しく元の世界に帰るつもりがあるなら、拘束するだけにしてやる。だが抵抗するなら、お前はココで無に帰す。さぁ選べ。」
「・・・ココ・・ノタベモノ・・・ウ・・・マイ・・・」
え?!あの魔物ちゃんと会話できるんだ!!でっきり一歩通行かと思ってた!
「それで?」
「イ・・・ヤダ・・・カエリタク・・・ナイ・・・」
「…へぇ~わざわざ親切に言ってやってるのに?」
あ、声のトーンが変わった。玲央くん怒ってるっぽい。
「・・・・」
「最後の宣告だ、帰らないのであれば、ココで無に帰す!いいんだな?」
「カ・・エラ・・・ナイーー・・・!」
魔物は言い終わらないうちに、玲央くんに襲いかかった!
「あぶなっ!!」
私はとっさに前に出ていこうとしたら、腕を掴まれた。
「危ないのは、君だって!」
令さんに怒られた。
「君が優しい子だっていうのは、よくわかるけどね、さっきも言ったけど、レオにはなんてことないから、邪魔しちゃだめだ。」
「あ・・・ごめんなさい。」
そうだ。さっき令さんは玲央くんなら心配ないって言ってたのに、逆に邪魔しちゃうところだった。
「いや、私もキツイ言い方になってしまってごめんね。レオは高位の『精霊使い』だから大丈夫。見ててごらん。」
「え?」
『精霊使い』?なに、そのゲームに出てくる職業は?
私は令さんの言う通り、玲央くんの戦う様子を見守ることにした。
玲央くんは、魔物の突進を交わしたかと思うといつの間にか化け物の後ろに立っていた。
「あ〜あ親切にわざわざ聞いてやったのに、自分で無下にするとはねぇ~。一応無駄だと思うが、聞いてやる。お前をココに連れてきたのは誰だ?」
手で前髪をかき上げる様は、さすが美憂が王子様キャラと言っていただけに様になっていて、思わずドキってしまった。ってこの状況下で何考えてるの!私はワタワタと一人で焦っていたんだけど、令さんはその様子を「?」と不思議そうに見られていた。あーっ恥ずかしい!
「ツレテ・・キタ? シラナイ・・・キヅイタラ・・・ココに・・イタ・・・」
魔物から、そう言うと玲央さくんはあからさまに落胆した様子で溜息をついた。
「そうだろうと思ったよ。可哀想だが、自ら帰る気になれないのであれば、こちらとしてはやりようがないからな。浄化する。」
『契約者レオンハルトの名において命じる!精霊召喚、サラマンダー顕現せよ!』
玲央くんが呪文めいたものを唱えながら手を伸ばしたその掌の上には、魔法陣のようなものが現れた。そこから火の玉がいくつも現れて、光ったかと思えば、更にそから火をまとった何かが火の玉から出てきた。
え?あれって??デカっ!ト、トカゲだよね?
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