11:異世界から狩るために

 うん、ちょっと落ち着いて考えてみよう。


 ‥‥‥いきなり爆発したけど、爆弾?ううんそんな感じの爆発じゃない、と思う。一瞬見えたけど、玲央君が光のようなものを操ってソレはまるで意思をもってるかのように、化け物めがけて爆発したものね。それに、信じがたいけど今のこの辺りの空気感っていうのかな?さっき令さんが何かを唱えたっぽいんだけど、確かにそれから周りの様子がガラリと変わった。先程まで聞こえてた川のせせらぎさえも近くで遊んでいた子供の声も聞こえなくなっているし。っていうか、人は私達しかいない?…うん、やっぱり何かが違う。


 今は、玲央くんがあの化け物と対峙しているけど、一人で大丈夫なのかな?垣間見える表情からは余裕そうに見えるけど‥‥‥

 ‥‥どう考えても、わからない。ただ普通の状況じゃないのだけはわかってる。そして令さんと玲央くんがこの状況を把握しているのは間違いない。だったらいっそのこと本人に聞いてしまえばいいよね?私は令さんに思い切って聞いてみた。


 「あの、こんな時になんですけど、質問してもいいですか?」


 「あぁ、答えられることであれば、答えよう。」


 んーと、これは言えないことがあるってことよね。

 

 「あの化け物と言い、さっきの爆発。それになんだか空間が変わりましたよね?これらは一体何なんですか?貴方たちは何者なんですか?」


  あ、つい疑問に思ったことを一気に言ってしまった。


  「んーいっぺんにきたね。まぁ君にしたら当然の疑問だろうけど。」


 そう言って令さんは困った顔をしていた。


 「あ、だけどあの化け物に、彼一人で大丈夫なんですか?顔は余裕そうな感じですけど‥‥」


 今は心細いから、令さんが傍にいてくれるのはすごく有り難くはあるけど、優先順位としては、化け物を何とかしないといけないのでは?と思ったの。

 

 「あぁ、あれくらいならレオには余裕だよ。ましてや、今はこのフィールドの中だしね。」


 やっぱり。この辺りの空気感が変わったのは気のせいじゃなかった。‥‥って、あ!私とっさの事とはいえ、助けてもらったのにお礼をいってない!


 「あぁ、すみません!先に質問なんてしてる場合じゃなかった!先ほどは助けてくれてありがとうございました!私は如月茅乃って言います!」


 「いや、気にしないでほしい。急なことだったしね。そういえばこちらも名乗っていなかったね。私のこちらでの名前は橘令(たちばな れい)という、よろしくたのむ。」


 「こちらでの名前?」


 「うん、まぁこうなったので、多少の察しはしていると思うから言うけど、私達はここの世界の住人ではないからね。一応こちらの国に合せた名前を使っているんだよ。」


 なんとなく会話の内容から予想はしていたけど、改めて聞くと、何だかドキドキしてきた。


 「え‥‥いわゆる、異世界からきた‥‥っていうやつでしょうか?」


 「直球で聞いてくるね。確かに私達はここではない、違う世界からきた。」


 苦笑いをするも、令さんは私を見据えて「違う世界から来た」とはっきりと告げた!


 「嘘‥‥?!」


 どうしよう!目の前にアニメや小説の世界がある!本当にこんなことが現実にあるなんて!美憂が聞いたら、卒倒ものじゃない?


 あれ?でももしかして‥‥


 「あの‥ということは、あの化け物ももしかして令さんの世界にいたやつなんですか?」


 私は向こうにいる化け物に指差して言った。


 「そう。だから私達が来たんだよ。私達が本来いる世界から、こちらの世界にはみ出してしまった魔物を狩るために、私とレオはやってきた。」


 そう言った令さんの顔は真剣そのものだった。

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