秋の日

 あ、おかえりなさい。



 うぅ。寒くなってきたわね。



 聞いてよ。今日はお義姉さんとお出かけしたんだけど、男の人も一緒だったのよ。


 これが大変でね。すごく空気が悪くて、私この場にいていいのかなぁって思ったの。



 喧嘩してるのかな? って。


 

 それで、川沿いを3人でゆっくり歩いてたんだけど、ずっと無言なの。



 辛かったわねぇ。私が。



 だって、どんどん寒くなってくるし。



 そうしてずーっと歩いて、もうすぐ家に到着って時に2人とも急に立ち止まって……。



 男の人がお義姉さんに何か言ったの。



 そうしたら、お義姉さん目から水を出してたのよ!



 前に教えてくれたよね。「涙」って言うんでしょ?



 でもね、不思議なの。



 アナタもお姉ちゃん先生も涙を流していた時って悲しそうだったじゃない?



 お義姉さんはね。嬉しそうだったのよ。

 


 泣いてたけど嬉しそうだったの。不思議!



 あ。



 でも、今分かっちゃったかも。



 もしかして……お義姉さんはあの人が好きなんじゃない?



 だって、その後2人でずっと見つめ合ってたんだもの。



 それに、お義姉さん帰ってきてからずっと変でしょ?



 急にわぁってなったり、顔を手で隠したり、すっごく変!



 それってやっぱり……ダメだわ!


 なんだか私が興奮してきちゃった!


 あぁ……落ち着かなくなってきた。



 ねぇねぇ。



 ちょっと抱っこしてくれない?



 私が落ち着くように。



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