夏の日

 ちょっと失礼しますよー。


 ああーやっぱりアナタの部屋は格別涼しいわー。


 この涼しすぎるくらいの部屋で……。



 アナタにひっついたら、涼しくてあったかくて最高ね!



 今日はここで寝ることにするわ。


 ねぇ、ねむるまでお話ししましょうよ。


 何を話そうかなぁ。



 あ、あれはどう?



 はじめて自然公園に行った時のこと。



 一面に広がる草原を見た時の、あの感動!



 私って外の世界は広い部屋が続いていると思ってたくらいだしね。


 お義母さんの運転する車で行って、お義姉さんも一緒だったわよね。お義父さんは「仕事で行けない〜」ってすごく残念そうだった。


 そう、今日みたいにすごく暑い日だった。


 太陽がギラギラしていてね。


 車から飛び降りたら、コンクリートに触れた足がやけどするかと思ったの。


 全然予想もしてなかったからビックリしたわねぇ。



 アナタはすぐそれに気付いて、私を抱き上げてくれた。



 そして、草原まで連れて行ってくれて、そこで初めて草の上に立ったわ。


 草って脚に当たるとコショコショくすぐったいなって思った。



 私の知らなかった世界。



 そこを走り回るとすごく気持ちが良かったなぁ。暑さなんて忘れるくらい。


 でも、いつの間にか疲れて動けなくなって。


 アナタがくれた飲み物がとても美味しかったの。



 そして、気がつくと辺りが薄暗くなっていたわ。



 帰るのを嫌がった私にアナタがなんて言ったか覚えてる?



 「また今度ね。また来よう」って言ってたの。



 「また今度」……私の好きな言葉。



 だって、アナタが初めて私にくれた言葉だから。



 また今度、あの公園に行きましょう?



 ね?



 また今度。

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