第22話 パーティーの座学勉強

メタルなスライムを追いかける一日をなんとか終えた四人を連れて帰宅してきた。


一日中追いかけ回したのでぐったりとしてしまった四人は風呂に入ってすぐに寝てしまう。



「初日にしては十分な出来だな」



あの後、もう一体のメタルなスライムを倒すことが出来たので、合計三体のメタルなスライムを倒すことが出来た。


結果として、


ディー、レベル23

ガロ、レベル21

リリア、レベル22

セシル、レベル20


という結果になった。


それぞれ戦いの中で思いついた技もいくつかあるようだがから、これ以降は話し合いが必要になるな。


俺は夜の間に資料を作ってまとめておく。


それぞれの個性を活かすために最適な知識の共有が必要だ。



「さて、お前らもパーティーで戦う難しさを知ったはずだ」



本日は、四人を目の前に座学の授業をしている。


昨日のメタルなスライムで相当疲れたのか、四人とも眠そうな顔をしている。



「先生、今日はダンジョンにいかなくてもいいんですか?」


「ああ、今日はみんなにディスカッションしてもらうおう思う。

昨日の戦いでわかったと思うが個々がそれぞれで動いていても、敵を倒すことは難しい。

互いに得意なこと、苦手なことを知ることで理解し合うことで確率を上げるんだ」



俗に言う反省会だ。


それは次に繋がる必要な話し合いだ。



「ディー、お前は魔法使いだ。今回のように魔法が効かない相手を敵にしたとき。弓だけしか戦う手段がない。だからこそ皆を率いるリーダーとして指示を出す戦術を覚えなければならない。それは冷静な判断力と、視野の広さが必要になる」


「はい」



ディーは己の未熟さを確認するように頷いた。



「ガロ、お前は短剣術習って、戦う喜びを覚えた。そのため前に出た。しかし、本来は遊撃達として、セシル、リリアを前に出して、お前が不意を突く役目を担わなければならかった。お前にはそれが出来る技量もあるはずだ」


「だってモンスターを倒してぇじゃん」


「お前が一人で行動していればそれもいいだろう。しかし、仲間で動くとき自分の役割を考えろ。得意だろ?」


「へいへい」


ふて腐れたように横を向く。



「セシル。今回の最優秀賞は君だ。補助魔法に、メタルなスライムの誘導。現場の指揮や己の出来ることを考えられていた。ただ手数が少ないことが今回は悩ましいところではあった。今後の成長が期待だな」



俺が褒めるように言うとセシルから嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。



「最後に、リリア。お前は二人が飛び出すなかで、よく判断してモンスターの観察することに踏みとどまった」


「ええ。でも、私は今回役立たずだったわ」


「そうだな。観察するまではよかったが、決定だに欠けていた。セシルの作戦がなければ倒せなかっただろう」


「はい」



俺は四人それぞれに今回の反省点を伝えて、四人で話し合うように仕向けた。


今後の役割分担、互いに何が得意で、何が出来るのか、最初は上手くいかないかもしれない。

だけど、実践を繰り返し、互いを知り、経験値を積むことで見えてくる物がある。



若者とは良いものだ。



彼らの成長を見守ることがこんなにも楽しいと感じてしまう。



「なにっ!俺にすっこんでろって言うのか?」


「そうよ。前衛は私とセシルの仕事なの。あなたが出しゃばったことで、私のスペースがなくなるでしょ」


「まぁまぁ二人とも落ち着いて」



ケンカし合うのも一つの会話になる。


自分の意見を通すとき、相手を納得させなければならない。


答えは一つとは限らず、臨機応変に対応するための準備がいるのだ。


正攻法として、リリアが前にでることは間違ったことではない。

間違ったことではないが、相手によってはガロとリリア。ガロとセシルと言ったパートナーのスイッチが必要になることもあるのだ。



「もう、二人ともガロ君は気配を消して後ろに回ることも出来るんだよね?」



セシルがケンカする二人に割って入り、ガロへ質問を投げかける。



「おう。俺のスキルだからな」


「お姉ちゃんは剣で敵を倒すことにかけては、誰よりも攻撃力が高いんでしょ?」


「まっまぁね」



それぞれの長所を言われて二人とも気まずそうな顔をする。



「私は二人を守るために盾を持っているよ。二人がモンスターを私に誘導して、私が耐えている間にどっちかが倒してくれれば良いじゃない。ガロ君が私へモンスターを誘導して、私がモンスターを引きつけてお姉ちゃんがトドメを刺す。どう?」



セシルの意見に二人とも満更でもない様子で、互いに気まずそうに頬をかく。



「僕の役目は?」


「ディーさんは、魔法か弓でモンスターが接近する前に遠距離攻撃。近づいてきたら、二人の間を縫って矢を放つか魔法で援護でしょ」


「はっはい!」



意外にもセシルは全員のことをよく見ている。



「まだまだ初めての冒険なんだから上手くいくはずがないんだよ。それでも出来ることをやっていかなくくちゃ」


「「「はい」」」



一番年下であるセシルに諭されて会議は終了した。


どうやらリーダーとして一般常識はディーの方が上ではあるが、こと戦闘に関してはセシルが一番先見の明をもつようだ。



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あとがき



すいません。ストックがここで終わりましたので、明日からは12時に一話づつ投稿していきます。


最後までお付き合い頂ければ幸いです(*^_^*)

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