布教 六
すぐにでもエルフの里まで飛んでいきたい気分である。
ただし、その前にミノルたちを回収する必要があった。ちゃんと連れて帰ると約束をしてしまっていたので、これを破るわけにはいかなかった。図体が大きい割に細かいことを気にする連中だから、置いて行ったら絶対に後でブツブツと言う。
そんな訳で森の精霊と共に合流地点まで移動した。
するとどうしたことか、彼らは精霊殿の姿を目撃して慌てふためき始めた。
「ちょ、な、なんで精霊様が一緒なんスかっ!」
「そんなの聞いてないんッスけどっ!」
それはもう滑稽なほど驚いてみせた。
熱いものにでも触れたかのように全身を震わせたかと思えば、数メートルほどを後ずさり、背後に生えていた木々の後ろに身を隠す。幹から顔だけを覗かせて様子を窺う仕草が、見ていてムカつく。チャラ男が可愛いアピールしているみたいな感じだ。
「なぁ、コイツらもオマエのところの信徒なのか?」
「ええ、そうです」
「ミノタウロスがニンゲンの神を信仰なぁ……」
珍しいものでも眺めるように、精霊殿はミノルたちを眺める。
やはり信仰とは縁遠い生き物のようだ。
まあ、それならそれで構わない。エルフたちから信仰を得られたのなら、彼らは用済みだ。後は定期的に座布団さえ運んでくれればそれでいい。むしろ万が一にも、信仰心に目覚めた彼らの祈りによって、我が身が牛面に変化しては堪らない。
そうしたこちらの思いを知ってか知らずか、問題の牛たちは我々から距離を取り、二人で仲良くヒソヒソと話をしている。身を寄せ合い小声で呟き合う様子からは、露骨なまでに怯えが伝わってくる。
「精霊様、今日は呑んでないみたいだな」
「いつも昼から飲んでるのに珍しいよな」
「っていうか、俺らの村にも分けてくれないかな?」
「だよな。エルフの造ってる酒、めっちゃ旨いんだよなぁ」
どうやら洞窟に積まれていた樽の中身は、自身の想像したとおりお酒であったようだ。それもエルフが生産しているみたい。おかげで彼らが森の精霊を信仰しているという話にも信憑性が湧いてきた。お神酒的な意味で。ちょっと量が多い気もするけど。
「これから森の精霊殿の案内で、この森に所在しているというエルフの里に向います。貴方たちも一緒に来て下さい。ミノタウロスの集落に戻るのは、そちらでの用事が終わってからとなります」
「え、そんなの聞いてないんスけど」
「それだったら先に俺らの村に寄ってもらえない?」
案の定、早々にぐずり始めたミノルたち。
この辺りのやり取りは想定の範囲だ。
コミュ障であっても、余裕綽々で受け答えできるぞ。
「森の精霊殿をお待たせする訳にはいきませんので」
「……ニンゲン、それって卑怯じゃね?」
「そういうのマジでズルいと思うんだけど」
「では早速ですが、エルフの里に向けて出発するとしましょうか」
渋るミノルたちを空に浮かせて、精霊殿にお声掛け。
すると、彼女は二人の姿を眺めて気を遣うように言う。
「本当にいいのか?」
「構いません」
なんたってエルフが待っている。
コイツら他に仕事もないだろうし、少しくらい連れ回しても問題ないさ。
◇ ◆ ◇
森の精霊殿に連れられて空を飛ぶことしばらく。
辿り着いたのはエルフの集落。
生エルフ、生エルフが右へ左へ闊歩しているぞ。
現地で目の当たりにした住民たちは、事前に想定していたとおり、誰も彼もイケメンだったり、美女美少女だったり、それはもう見目麗しい集落である。ミノタウロスの村が糞の掃き溜めのように感じられる美しさ。
これは堪らない。
この類まれなる造形が近い将来、我が身に訪れるのか。
そう考えるとテンションも急上昇である。
「せ、精霊様、これはいったいどういった御用で……」
エルフの集落を訪れた直後、案内されたのは一際大きなお宅である。
そこで我々は一人のエルフと顔を合わせていた。
「オマエたちに話があってきたぞ!」
「それはまた、どういったご用件でしょうか……」
村長さんは見た感じ結構なお年だ。
シワシワのお婆ちゃんである。
もしも自身が知っている創作物のエルフと同様、彼らが長生きな種族だとしたら、その実年齢は人間とは比較にならないことだろう。場合によっては、我らが神様が地球へ飛ばされる以前を知っているかも知れない。
ちなみに同所にはミノルたちも同席している。エルフの村の村長と思しき人物の正面で、右から順番に森の精霊殿、羽つきオバちゃん、ミノル一号、ミノル二号といった塩梅だ。ちなみに出会ってから数日経つが、ミノルたちの見分けは未だにつかない。
「オマエたちは前から私のことを信仰してたよな?」
「え? あ、は、はい、それはもう厚く信仰させて頂いておりますが……」
座布団の上に胡座をかいて座り、森の精霊殿は語る。
エルフ用の座布団に、身体の小さな彼女がちょこんと腰を落ち着ける様子は、眺めていて微笑ましいものがある。精霊殿のボディーも悪くない気がしてきた。お人形さんのような姿は、若い女性からチヤホヤしてもらえそうな気配を感じる。
ただ、彼女から信仰の是非を伺った後でも、この肉体は変化する兆しが見られない。どうやら現時点では、しっかりと信仰を捧げているとは言えないようだ。状況的にはミノルたちと変わらない。いつかガッツリと祈りを捧げて頂きたい。
「単刀直入に言うけど、今日から鞍替えしてもらえないか?」
「あの、そ、それは一体どういったことでしょうか?」
「今日から私は、こっちのニンゲンが信仰してる神を信仰することにした。だからオマエたちに私を信仰させる訳にはいかない。代わりにオマエたちにも、私が信仰するのと同じ神を信仰してもらいたい」
精霊殿が隣に座ったオバちゃんを視線で指し示しつつ語る。
応じてエルフの村の村長さんからも注目が与えられた。
なんでそうなるんだよ、みたいな疑念の眼差しを。
「どうだ、頼めるな?」
「…………」
森の精霊殿は強気の表情だ。さぁ、頷け、といった雰囲気で語りかけている。座布団の上に胡座、更に腕組みなどして偉そうである。身体のサイズが小さいから、ちょっと可愛い感じになっているけれど。
一方でエルフの村の村長は渋い表情だ。
声に出さずとも、絶対に嫌がっていると確信を覚える。
当初の想定では、サクッと了承をもらえるのではないかと考えていた。なんたって信仰の対象であるという精霊殿。けれど、村長さんの反応は芳しくない。もしかして、そんなに仲良くなかったりするのだろうか。
だとすれば、どうして信仰されているのか、森の精霊殿。
雲行きの怪しい両者のやり取り。
これに自身が疑念を抱き始めた頃合い、村長が怖ず怖ずと口を開いた。
「精霊様にこのようなことをお伝えするのは忍びないのですが、我々は他に信仰すべき神と出会う機会に恵まれました。実は近い内にそのことで、お話に伺おうと考えていたのです。どうかご容赦いただけないでしょうか?」
「……え?」
村長からの言葉を受けて、精霊殿の目が点になった。
え、なに言ってるの? って感じ。
「すみませんが、この場はお引取り願えませんでしょうか?」
「ど、どうしてだよっ!?」
「それは、そ、その……」
想定を裏切られて、森の精霊殿が荒ぶり始めた。
隣ではミノルたちが小さくなっている。
図体のデカいマッチョな牛面が、居辛そうな表情で肩を縮めて正座している姿は、これはこれで可愛らしく映るのが苛立たしい。これがギャップ萌えというものか。おかげで殊更にイラっとする。
くそう、早くエルフになりたい。
自分も優れた外見を手に入れて、見た目で周りにアプローチしたい。
「村長殿、一昨日の件で少しばかり話をしたいのだが……」
そうこうしていると、部屋の外から声が聞こえてきた。
どうやら村長にお客のようだ。
部屋の前で足音が止まったかと思えば、ガララと引き戸が開かれた。
そこから顔を出したのは、おや、オバちゃんも目に覚えのある顔立ちだ。
「あ、オマエっ!」
客人を振り返った精霊殿が声を上げた。
それもその筈、何故ならば同所を訪れたのは、つい先刻まで彼女と争っていた人物であった。名前こそ知らないが、オバちゃんも彼らのことは知っている。数日前に人里を追い出される原因となった人物、巷で大人気の勇者様である。
「ゆ、勇者殿っ……」
「村長よ、これはどうしたことだ? 何故その妖精がこの場にいる」
何故だろう、勇者様の姿を目の当たりにして村長が萎縮したぞ。
一方で彼は目くじらを立てている。
その眼差しは森の妖精殿のことをジッと睨みつけている。
村長さんの家に設けられた応接室は、一触即発の雰囲気だ。
臨戦態勢で睨み合う勇者様と森の精霊殿。その傍らで頭を悩ませるオバちゃん。そして、急に険悪な雰囲気を発し始めた精霊殿を眺めて、ガクブル震えるばかりのミノルたち。一番強そうな外見の牛たちが一番弱そうだ。
「ちょっとちょっと、教祖ってば、これってどういうことっ!?」
「俺たち関係ないよなっ? ここに居なくてもいいよなっ!?」
巻き沿いを喰らったミノルたち、ちょっと哀れかも知れない。
非難の声には普段以上に怯えが感じられる。
ここは一つ、教祖らしくドンと構えておこうかな。
「安心しなさい、信徒たちよ。仮にこの場の全員が一斉に飛びかかって来たとしても、私にはこれを一方的に制圧する力が、我らが神より与えられています。貴方たちは普段どおり構えていれば問題ありません」
「えっ、それマジで言ってるの? い、いくらなんでも嘘っしょ?」
「いやでもこのニンゲン、実際に森の精霊様を説得してきた訳だし……」
「……たしかに」
「だけど、そ、それはそれで嫌だよな。俺らコイツから逃げれないじゃん」
「あぁ、それだよ。マジでそれ」
少しでも心配した自分が馬鹿だった。
ミノルたちは放置でいいや。
それよりも気にするべきは、エルフと森の精霊、それに勇者様を含めた三者の関係である。どうして勇者様が森の精霊の生活圏であるエルフの集落を訪れているのだろう。しかも町長宅内まで出入りしちゃってるとか。
「エルフの村の村長、説明をしてはもらえないか?」
「それは、そ、その……」
村長さんを問い詰めるような口調で勇者様が言った。
答える彼女は続く言葉が出てこないようでしどろもどろ。
その様子を目の当たりにして、森の精霊殿が声を上げる。
「そいつらは私の寝床を襲ってきたヤツだぞ! どうしてそんなヤツが、オマエたちの村にいるんだ!? まさか、オマエたちがコイツらに私の寝床を教えたのか!? 私のことを襲えって言ったのかっ!?」
「お、襲った!? そんな滅相もない! そのようなことは決してっ!」
「だったら何でだよ!」
「お、お頼み申し上げたのです。精霊殿から我々に与えられるお言葉に、少しでもご容赦が頂けるよう、精霊殿と交渉を願えませんかと。その代わりに我々は、この者たちが信仰している神に対して、祈りを捧げることを約束しますと」
勇者様たちもオバちゃんと同じようなことを考えていたみたいだ。
理由は定かではないけれど、彼らもエルフたちの信仰をゲットしようと考えていたご様子。まさかとは思うけれど、うちの神様以外にも、似たようなことを考えて動いている神様とかいたりするのだろうか。
「ちょっと待てよ。私からの言葉って、どういうことだ?」
「それは、その……」
精霊殿から追求されて、言い渋る村長さん。
皆々の注目が彼女に集まる。
「ほらほら、ちゃんと説明してよ」
「はい。それは、その、精霊殿のお世話にございます」
「……私の世話?」
「お住まいに赴いての掃除や、毎日の食事やお酒のご提供を始めとして、更には毎月行われる祭事の支度や、度々頂戴するご提案へのお返事など、その、ど、どれも我々には負担が多いものでございまして」
「…………」
「また、精霊殿はとてもお酒を好まれますから、その、な、なんと申しますか、酔われた際に我々が受ける影響というのも、決して馬鹿にならないと申しますか、つい先日には怪我をした者もおりまして……」
なんとまあ、精霊殿ってば思ったよりも駄目な感じである。
碌に働きもせずお酒ばかり呑んで、奥さんに迷惑をかけるタイプの亭主。そんなどうしようもない背景が自ずと脳裏に思い浮かぶ。しかも彼女の場合は、奥さんではなくエルフたちの集落に丸っとご迷惑を掛けていた様子だ。
ふと気になって、オバちゃんは彼女に尋ねてみる。
「精霊殿、一ついいですか?」
「……な、なんだよ?」
「お酒、美味しいですか?」
「当然だ! お酒は美味しいっ!」
「あまりにもお酒が美味しいから、エルフを殴ってしまわれたのですね」
「殴ってない、殴ってないぞ!? 偶然、足が当たっただけだ!」
「…………」
これ以上ないほどにアル中の言い訳である。
どうしてこんな生き物をエルフたちは信仰しているのだろう。もしも自分が奥さんだったら、すぐにでも離婚して実家に逃げ帰っているぞ。まさか弱みを握られているとか、そういう感じなのだろうか。
いずれにせよ我が身はエルフからの信仰を欲している。
この機会は捉えようによってはチャンスだ。
率先して彼らの信用を勝ち取りにいくべきである。
「精霊殿、幾ら何でもそれはエルフたちが可愛そうではありませんか?」
「あ、足が当たったことは悪かったと思ってるっ! でもオマエたちだって、私の世話は喜んでやっているって言ってたじゃないかっ! だから私だって、それならもっと皆で楽しめるようにって、色々と考えたり、お祭りとか……」
「…………」
これはあれか。社交辞令が分からないタイプの人か。
典型的な体育会系の。
しかもアル中。
なんとなくエルフの村のおかれた状況が見えてきた。
「すみませんが、少しだけ話を整理させて下さい」
声を挙げると、皆々の注目がオバちゃんに集まった。
勇者様とは面識があるので、こっちはこっちで騒がれるかとも身構えた。ただ、背中の翼が影響しているのか、あるいは精霊殿の存在に意識が向かっているのか、邪教徒云々の声が上がることはなかった。
ただし、それも時間の問題と思われる。
急いで状況確認を行おう。
「エルフの村はそちらの勇者殿から、今後エルフたちが仕えるべき存在に対して、説教を受けたのではありませんか? そして、これを受け入れる代わりとして、森の精霊殿の著しい飲酒と、行き過ぎた要求を退けて欲しいと頼んだのです」
「……ええまあ、そ、そのようなお話でございます」
「これに対して勇者殿は、森の精霊殿を邪教として成敗することに決めたのです。事実、こちらの精霊殿は住処となる滝の辺りで、勇者殿たちに襲われています。おかげで森の精霊殿は、勇者殿に対して敵意を剥き出しにしています」
「なっ……そ、それは本当でございますかっ!?」
オバちゃんの発言を耳にして、エルフの村長さんが驚いた表情になった。
シワシワの顔が激しく動いて、これまで以上にシワまみれだ。
「オマエらが頼んだんじゃないのか!? そのニンゲンにっ!」
「そんな滅相もないっ! 我々は村の生活にゆとりが欲しくて……」
エルフの村と勇者様ご一行の間で、少しばかりコミュニケーションのミスが発生したようである。結果的に強襲を受けた森の精霊はピンチに追いやられて、これに居合わせたオバちゃんと出会う運びとなった。
というか、勇者様たちが勝手に暴走したようにも思える。
それもこれも彼らの情熱的な信仰心が理由ではなかろうか。
「そういう貴様は何者だ? 翼人はもっと北の大地に住んでいるはずだ」
勇者様がこちらに対して声を上げた。
その顔に浮かんだ表情は、精霊殿を見つめる眼差しと大差ない顰めっ面である。もしかして人間と翼人は仲が良くないのだろうか。犬猿の仲みたいな関係だったら、背中の羽の扱いも考えなければならない。
「いや待てよ……」
「どうされましたか?」
「貴様はいつぞや、邪神像を盗んだ者ではないか?」
おっと、勇者様に身の上がバレてしまったぞ。
出会い頭に気付かれなかったのは、本人も口にしていたとおり、背中の翼が影響してのことだろう。なんでもこちらの世界には、翼人なる種族が人間とは別に存在しているらしい。肌の色にも増して、翼が目を引いていたものと思われる。
そして、こうなってしまうと、彼らとは話し合いどころじゃない。
「さて、なんの話でしょうか」
「っ……」
次の瞬間、勇者様に動きがあった。
腰から剣を抜いて、こちらに向い駆け出してきたのだ。どんな状況であっても、自らの仕事を優先する姿勢は、人生ドロップアウトした人間からすると、とても眩しく映る。きっと組織内でも仕事がデキる男としてチヤホヤされているのだろうさ。
なんて羨ましいのだろう。
当然、抜かれた側は大急ぎで対応しなければ。とはいえ、何となく想定していた反応であったことも手伝い、そこまで慌てることはなかった。飛行魔法を行使して、相手の身体を下方に向い押し付ける。
間髪を容れず、彼の身体は応接室の床板にへばりついた。
「っ……この魔法はまさか、あ、あのときのっ……」
どうやら滝壺での一件を思い起こした様子だ。
勇者様の瞳が驚きに見開かれる。
「どうですか? 我らが神の力は」
「じゃ、邪神の力を借りて、なにを偉そうにっ……」
「正邪の判断は人によって千差万別です。見た目や生い立ちから信徒を選り好みしていては、本当に必要な信仰など見えてきませんよ? その点、我らが神は信じる者を全て平等に受け入れます」
今、オバちゃんは嘘を言った。
こちらの宗教は美少女とイケメンしか受け入れていません。それ以外の生き物、取り分け牛面の連中には、できる限り距離を置いて頂きたく存じます。万が一にも信仰されたら、この身体がえらいこっちゃでございます。
たとえ主神が受け入れたとしても、使徒である自分が頑なに拒否する予定。
「邪教徒はいつもそう言って人を丸め込むんだ!」
「外から見たら、そのように見えるのかも知れませんね」
「違う、事実だっ!」
勇者様ご一行がこちらの森で、教えを説いて回っているのは間違いなさそうである。いつぞや彼らが口にしていた言葉を思えば、その背後には女神様なる人物が存在していると思われる。うちの神様と同系統の存在だったりするのだろうか。
「勇者様、この場はお引取り願えますか?」
「っ……」
少しばかり凄んで問い掛けると、彼は続く言葉を失った。
いい感じである。
この様子なら当面は安泰だ、森の宗教戦争。
「信仰心に厚いのは良きことです。ですがそれも、自らの命を捧げてまで行うほどのものではありません。こちらの村のエルフたちがそうであったように、信仰というのは生活の合間に片手間で行える程度が丁度いいのです」
相手から降参の声が上がることはないだろう。
そう考えて飛行魔法を解く。
以降、勇者様の動きは素早かった。
「いつか必ずや、その狂った信仰心を正してくれるっ!」
声も大きく言い放つと共に、応接室から出て行った。
踵を返すと共にダッシュである。
途中でガシャンと硬いものが割れる音が聞こえた。逃げる途中で何かしら壊したようだ。お値打ちモノだったりしたら、どうするつもりだろう。後々になって弁償の話がこちらに回ってきたりしたら、それこそ最悪なんだけど。
ただでさえこっちは貧乏な団体なんだから。
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