2 図書館で調べ物

休み時間に観月が教えてくれた、“HSP“という言葉を調べる為に図書館に寄った。休日に来ると、小さい子供達が楽しそうにはしゃいでいる声がよく耳に入ってくるけれど、平日だからか静かに読書を楽しむ人達の姿が多く見受けられる。



図書館で本を借りるときにバーコードを読み取る音とか、室内を歩く時の音とか個人的に落ち着くから好きなんだよね。


頭の中で独り言を呟きながら、沢山の本が詰まった世界へ飛び込む。




「…あ、これかな。」


私の目線よりも少し高めな位置に気になる本を見つけた。

無意識に頬がふにゃりと緩む。先程までは教科書が沢山詰まったリュックの重さに少し億劫になっていたが、今ではそれが少し軽く感じられるほど嬉しくなった。




「えぇと…。」


自然光が程よく当たる席に座り、足元にリュックを下ろした。少しわくわくした気持ちを添えて本のページを捲った。





HSPは Highly Sensitive Personの略称で、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士により提唱された概念です。




アーロン氏はアメリカで数千人を対象とした調査を行い、繊細は性格によるものではなく“生まれつきの気質“の可能性が高いと考えた。そして、【生まれつき繊細な人】が五人に一人の割合で存在することを八秒シています。




「繊細さは“性格“ではなく、…生まれ持った“気質“…か。」




繊細さんは、人の気持ちや場の雰囲気といった人間関係に関わるものや、光や音などの環境の変化、いわば「自分の周りにあるもの」はもちろんのことで、体調や新しく思いついたアイディアなど「自分の内面にあるもの」によく気づきます。




・周囲に不機嫌な人がいると緊張してしまう

・よく細かいところに気づく為、仕事をこなすのに時間がかかる

・非常に疲れやすい為、ストレスが溜まって体調を崩しやすい



一瞬だけ自分の心にちくっと痛みを感じた。

共感は出来るのに、脳内にあまり嬉しくない記憶が蘇ってきたからなのかな。





また、HSPの方々は想像力が非常に高く、感受性が豊かなため、…――



「じゃあ…芸術系辺りで素敵な才能を発揮できる人が沢山いたりして…。そう考えたら、観月なんか絵が上手だし周囲の変化によく気づける所とかよく当てはまるよね。」


観月が言っていた通り、共感できる所が多々あるお陰で、普段の読書よりも更に楽しい時間を過ごすことが出来た。明日、観月へのお礼として何か手作り菓子でも渡そうかな。…喜んでもらえたらいいけど。


明日が早く来ますように。

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繊細さん 比嘉パセリ @miyayui

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