うつ病 中期(〜回復期)



動けない期間を越えて、少しずつ行動がしやすくなってきた時期。


けれど、頭の回転が少しだけ戻ってきた時期で、不調や症状の長さにもどかしさが募る時期です。




元々の鬱の症状+薬の副作用で、治り方も人それぞれ。


後遺症っぽいものが残ることもしばしばあります。




無理をしなければ健常者に見えるし、病状も波打ちながら徐々に笑えるようになったり、酷かった妄想や反芻思考が治まってきて、なんだか行けそうな気がしてしまうのですが、これが要注意。


なんだか行けそうな気がしてきてしまうんです。


実際には悪くなったり良くなったりの波の中、少しだけ体調のよくなったタイミングで起こるので、完全回復とは言えないタイミングなのですが。




この時に無理をしてしまうと、後日とんでもなく体調不良を起こして、また鬱に逆戻りしてしまいます。


その無理が即日来る場合もあれば、その後一週間や、何か月も経ってから疲れが出ることもあり、人により様々です。


私はよくその無理をした夜に疲れが来たり、原因不明な微熱が一週間続いたりなどが出て、時間の経ってから出てくる症状の原因に気付けません。




仕事が出来そうな気がする!と思ってしまうことも多いし、症状である焦燥感に背中を押されて、社会復帰をしようと頑張ってしまいますが、ギリギリ這い上がって来たところにまた無理をすると、簡単に落っこちてしまいます。




そして困るのが、周囲の人からは本当に、病気の症状がわかりずらいのです。


少しでもよくなると周りからは元気になったように見られるし、急性期を乗り越えるために既に何ヶ月も休みをとった後なので、家族に「仕事は?」「元気になった?」と急かされたりもします。


友人にも「元気そう!」と思われたりします。


自分も元気になりたい気持ちが強いからこそ、それに苦しめられてしまうのです。




気遣われている言葉の中からでも、周りが「もう仕事できるんじゃない?」と思っているだろう気持ちが、ビシビシ伝わってきてしまいます。


人一倍気遣ったり、人の言葉に左右されやすいからこそ、かなり当事者にとってはプレッシャーになります。


流されてしまうと病状が逆戻りするので、かなり環境によって治りのペースが変わりますしね。




自分の状態は、自分にしかわかりません。


医者に話すにも、自分の内面が解っていないと説明ができません。


外側からは見えないので、患者さん本人の様子や状況からでしか判断がつかないのです。


だからこそ、自分を分析して、どのように考えているか、それが病気によるものなのか自分自身の気持ちなのか、分けて客観的に考えられるようにならないと、なかなか病気が良くなりません。


そこが精神病の難しいところです。




自分のペースでいい。


焦るのは症状の所為だし、その症状が残っている時に仕事など負担のあることは極力避けるべきです。


出来ることならば家族を黙らせるか、主治医の先生のところに連れて行って説明してもらうのがいいでしょう。


少し余裕が出てきたら趣味を楽しみましょう。




本来うつは、1年前後の期間、療養が必要であることが多いとのことです。


こじらせると長引くので厄介ですね。




ホルモンバランスを短期間で今まで通りに戻すことは難しいです。


薬を使っても長期間の療養が必要になることが多いので、そこは覚悟して、途中で勝手に断薬などしないように気を付けねばいけません。


鬱の不安に付け込んだとんでも医療もたくさんありますが、医師を信じてブレないように気を付けましょう。




うつ病は、完治ではなく寛解というラインまで体調を戻していくことを目指します。


寛解とは、完治ではないけれど症状がおさまっていて、生活するのに問題無い程度と考えていただけるといいと思います。




寛解しても再発しやすいのですが、元々無理をしやすかったり頑張り屋さんだったりという根本的な問題の解決が難しいので、寛解のまま維持するということがとても難しいです。


周りのサポートも必要だったり、当事者の考え方の歪みを根本的に修正していかないといけない場合も多いです。


その寛解にもっていくまでに必要なことが『認知行動療法』だったり『カウンセリング』だったりというものになります。




理由のない罪悪感や、自己否定感などの考え方の歪みは、『認知行動療法』が有効で、一人でできる本も売っているし、日記や、SNSでの発言も有効です。


自分の状態や考え、気持ちを言語化して、外側に出すという練習です。




『カウンセリング』は、主に具体的に何か苦しいことが起きたりした時の掃き出し場所としての役割を負ってくれます。


こちらも言語化するという点において共通しています。




いずれも自分の本心を打ち明けたり、弱さを認めていったり、客観的に分析していくことで、より自分の思考の癖を知って、問題に対処していくために必要なスキルです。




私はかれこれTwitterで五年以上は気持ちの吐露を続けていて、そのおかげか、今回の鬱の回復スピードも少し早くなっているように感じています。


三年が一年になるような、そのレベルでのスピードですが、回復を実感しています。




自分を知ること、受け入れること、他人の行動で悩んでいたなら行動パターンを検索して納得してみるなど、知ること・気付くことに効果があると個人的に思います。




この治療では、鬱になるほどの苦痛なことと向き合わなければいけないこともあり、鬱の症状自体も回復期ではまだ中途半端に苦しいので、当事者の中では何か月も、何年もかけて、戦い続けている方もいます。


そして症状がなくなっても、再発を防ぐために戦っています。




症状が軽いか、重いか、関係ありません。


患者は皆戦っていて、その痛みや苦しみは比べるものではありません。


ということを、健常者の方には知っておいてほしいと思います。




一人でも多くの方にうつ病の人の状態を知っていただけたなら、また同じく病気を患っている方の励みになれたなら、嬉しく思います。

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