異世界の異端魔術師―Heretic magician in another world―

魔法、魔術。
神話や中世にあったとされる神秘、秘術。
現代では科学という技術《ちから》と理論が発展し、空想上の存在と立証され、今では物語の中にしか存在しない幻想。

自分がその神秘ある世界に足を踏み入れ、触れていく事も、幸福と絶望に苦しみ続ける日々を送る時が来る事も無い。
天星零(あまほしれい)という少年もそう思っていた。

しかし、空想だという論はある時、あっさり否定された。


憂鬱そうな薄明かりの曇り空。
ざわざわと雑談する声で溢れていく数多の教室。
その中の一室に入る。クラスメイトが気軽に挨拶を交わし、それぞれの席に腰を下ろす。
平和な時間が泡沫の様に消えると予想も出来ずに。

浪漫の欠片もないのかもしれない。

しかし、定番という言葉があるように、物語の始まりというものは何て事のな…続きを読む