03 謎
アウリオンが召喚されたエルミナーラの食事より、元々いたストラスの味付けに近いと思った。
やはりここ地球とストラスは似た文化、発展度合いなのかもしれない。
夕食を終え、新奈は自分の部屋に引き上げた。
畳の上に敷かれたマットレスに横になりながらアウリオンは考える。
なぜ、エルミナーラからこちらに来てしまったのか、と。
戦っているさなかに現れた穴がエルミナーラとここをつなげたのだ、とは予想できる。
ではあの穴は何なのか。なぜできたのか。
エルミナーラを魔物の脅威から救ってほしいと召喚されたことを考えると、あの世界の誰かが作ったものではないだろう。実は王国に敵対するどこかが、とかも考えられなくもないのだが、自分の星が魔物に蹂躙されるのを喜ぶ者は、……そういないだろう。
となると、自然発生なのだろうか。
この、魔法も異能もない星につながる意味が何かあるのだろうか。
魔法といえば、とアウリオンは体を起こす。
通訳の魔法石は使えているが、詠唱魔法はどうだろうか。
試しに、小さな火をともす魔法を唱えてみる。
体の中の魔力は動く気配があるが、発現されない。
詠唱魔法は使えないようだ。
魔道具はよくて、詠唱魔法は使えないということか。
逆に、なぜ魔道具は使えるのだろうか。
謎だらけだ。
とにかく、しばらくはこの家に身を寄せさせてもらって、これからのことを考えなければならない。
もしかすると、エルミナーラから呼び戻されるかもしれない。
また、あんなことに、なるかもしれない。
自分が召喚された時のことを思い出して、アウリオンは、だったらもう二度と呼ばれなけばいい、と思った。
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