第2話 サクヤの告白

 あの出来事から2日後…

 セルリアはサクヤに対して敬称を再び使い始めた。

 それは、セルリアなりの礼儀としてであった。


 「サクヤ殿…お聞きした事があるのですが?」

 「その口調…なんか初めてあった頃に戻ったみたいで余所余所しいな!」

 「吾は…いえ、私はサクヤ殿に比べたら…」

 「はぁ~~~、それで聞きたい事って何だ?」


 セルリアは顔を少し赤くすると、とんでもない事を聞いて来た。


 「サクヤ殿…私はいつでも待っているのだが、サクヤ殿はいつ私を抱いてくれるのだ?」

 「は?」

 「サクヤ殿が何かある度に、私を抱くぞと言って来るので…私はいつ抱かれるのかと?」

 「え…いや…?」


 俺は悩んだ。

 ミクやマミもそうだが、あぁ言えば大人しく指示に従うと思って言っていただけで…実はそんな気はない。

 俺は溜息を吐いてから、セルリアに言った。


 「セルリア…聞いてくれ、俺は…」

 「あぁ…」

 「女性の経験は全く無いんだ‼」

 「はぁ? 何か不都合がある度に、抱くとか睡眠魔法で眠らせてから貞操を奪うと言っていたではないか!」

 「あぁ言えば、大人しく身を入れてくれると思った発言で…本気という意味では無いんだ。」

 「それでは…私の覚悟は一体?」


 セルリアは俺の言っていた事を真に受けていたのか。

 セルリアは…可愛くてスタイルも良い。

 男なら彼女を見たら、放ってはおかないだろう。

 この世界ではどうかは知らないが、俺の中では女の子を抱くという意味は…。


 「お前に恥を欠かせてしまって済まない。 実は、セルリアを抱けない理由は…俺が女性に対して未経験というだけでは無いんだ。 お前を仮に抱いてしまった場合…歯止めが効かなくなるのが怖い。」

 「それは…毎回求めて来るという意味か?」

 「あぁ、そうだ!」

 「それなら私は気にしないが?」

 「うごっ‼」


 やばい…心の中がクリティカルヒットした。

 話題を逸らさないとな…


 「俺は…初めての相手は、お互いに初めて同士と決めているんだ!」

 「それなら私はまだ男とは交わってはいないが?」

 「だが、俺が風呂に入っていた時に普通に入って来たじゃないか?」

 「それは…私をサクヤ殿のパーティーに入れてくれるという事で、一生ついて行こうと思っての行動だ。」

 

 やばい…このままだと俺の理性が持たなくなってくる。

 何か話を逸らす…逸らす材料は?


 「お前を抱いてしまった後に、不味い事が3つあるからだ。」

 「その3つとは?」

 「俺がセルリアに惚れてしまって…弱くなってしまう可能性がある事だ!」

 「私も女だ! 惚れられるなら嬉しい事この上ないぞ!」

 「それに俺はいずれ…元の世界に帰らないといけない。 いつまでも…この世界に留まっている訳にはいかないんだ!」

 「その時は…私がサクヤ殿の世界に着いて行く…というのは駄目か?」

 「それは別に構わないが…って、そういえば聞いた事が無かったが、セルリアって今何歳だ?」

 「私はサクヤ殿と同じ17だ!」


 やばい…揺れるな俺‼

 俺は初めては同じ歳の子と決めていた。

 正直言うと、あの三人と別れてからセルリアと行動を共にしていると、何度か歯止めが効かなくなった時があった。

 セルリアが眠っている時に、こっそりと髪の匂いを嗅いだり…何とか思い留まったが!


 「サクヤ殿、後1つは何だ?」

 「セルリアに恋をしてしまった場合…もしくはセルリアが大事な人として認識した場合、セルリアが弱点になってしまう可能性があるからだ。」

 「私が弱点とは?」

 「もしもセルリアが敵に捕まって…殺されたりされると、俺はこの世界その物を破壊してしまうかもしれなくなる! 」

 

 その懸念が一番怖い…って、俺は馬鹿か!

 肝心な事を聞いていなかったじゃないか‼


 「セルリアに聞きたいんだが、抱くという話を抜きにして…セルリアは俺の事はどう思っているんだ?」

 「サクヤ殿は…尊敬すべき人であり、目標であり、そして…いつかその高みに追い付きたい存在だ!」

 「あ…ごめん、好きか嫌いかという話を聞きたいのだが?」

 「勿論、サクヤ殿は好きだぞ!」


 俺はその答えが聞けて満足だった。

 ただし、次の言葉を聞くまでは…。


 「ミクも態度が大きいが目を離せない感じが好きだし、マミの気配りが出来る所も好きだ。 ユウトの真面目に努力している所も好きだ。」

 「う~む…?」


 セルリアって…天然か?

 俺は勘違いかと思って、先程の隙を誤解している様な感覚がした。

 腕を組んで考えていると、唇に何かが触れた感触があった。


 「サクヤ殿…これが答えでは駄目か?」

 「え? いまのは…?」

 「2度目をしろと言うのは勘弁してくれ…これでも結構恥ずかしかったからな!」


 セルリアはそう言って舌を出して言った。

 やばい…セルリアの仕草が凄く可愛い‼

 考えてみれば、どの異世界召喚でも一緒に行動をした女の子っていなかったし、俺は浮かれているのかもしれない。

 冷静になれ…俺の心臓の鼓動よ!


 「セルリア…魔王を倒す迄、待っていてくれないか? 魔王を倒した時に、セルリアに対する答えを用意するから。」

 「それはいつの話だ、サクヤ殿?」

 「そんなに待たせない。 俺自身がそこまで制御出来るかどうかが怪しいからな!」

 「では、その時までは私に触れる事はしないんだな?」

 「うっ…我慢しよう!」


 危ない…何とか自分を保つ事が出来た。

 魔王を倒す迄は我慢だ!

 そして、次にパーティーに入って来る者は…どうか男であってくれ!

 もしくは…このまま2人で行くか?


 ところがこの少し後に…新たなパーティーメンバーが入る事になる。

 それは…物凄く魅力的な女の子だった。

 これはもしかして…ハーレムルートに進むんじゃねぇか?

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